長い期間をかけて10倍高を目指す「割安成長株」に注目
この手の銘柄は案外、PERの水準が比較的低いままの状態で、株価がテンバガーになるケースもあります。建設技術研究所(9621)は、2012年7月の安値445円から、2024年1月に高値6,120円になったので、この11年半でまさにテンバガーになったわけですが、4,735円まで調整した同年5月2日時点のPERは10.8倍です。この会社のROEも13.3%と高い水準を維持しています[図表2]。
なぜ成長株が割安になるのでしょうか? 私なりにその理由を考えてみました。
中央自動車工業って何をしている会社かわかりますか? 自動車部品メーカーに見える社名ですが、コーティング剤など自社企画の自動車用品を販売している卸売業の会社で、自動車補修部品の輸出事業も行っています。黒子の存在で知名度が低い上に、IRに積極的ではありません。
建設技術研究所は、河川や道路に強みをもつ建設コンサルですが、そもそも建設は不人気業界です。事業内容もよくわからない。
また、この両社に共通していることは、業績予想が保守的なことです。しかも、上方修正の発表が本決算と同時か直前になることが多いのです。しかも、上方修正の結果、今期予想が横ばいから減益予想となると、見た目が悪い。前期の上方修正より、今期の横ばいから減益予想の悪印象が強く出て、株価が上がらないのです。
バリュートラップから抜け出せない割安株との違いは、PERが低く、ROEが高いこと、そして、成長企業でありながらも、小型株で流動性がないなど、株価が割安のまま放置されている理由が考えられることです。財務が良好なので、何らかの理由で株価が上がり始めると、多くの投資家の注目が集まって株価が上昇します。
中央自動車工業も、建設技術研究所も、直近の株価は調整気味ですが、PER10倍のまま長い期間をかけて10倍高を目指す「割安成長株」が、新NISAの成長投資枠での株式投資には向いていると思います。
専業投資家インフルエンサー
DAIBOUCHOU
※本記事は『バリュー投資の億り人が教える 新NISA「成長投資枠」で1億円: 10日で学ぶ10年10倍株の探し方』(東洋経済新報社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。記載内容は当時のものであり、また、投資の結果等に編集部は一切の責任を負いません。
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