2015年に起きた社会不安と政治的混乱
IMFは2015年頃、スリランカに技術的支援を提供し、「潜在産出量」を計算するよう指導した。その結果、紛争もなく安定していたスリランカだったが、通貨危機と経済の混乱状態が連続して発生し、2022年には債務不履行が起こり、社会不安と政治的混乱を引き起こした。
これまでスリランカ中央銀行は脱米ドル化政策を進めておらず、むしろ個人の外貨保有に関する規制を緩和してきた。特に1990年代には外貨預金や資本移転に関する規則を緩和した。また、中央銀行が再融資を停止し、市場が金利を決定する制度を導入したことで、金融抑制政策を終わらせたという成果もあった。
しかし、2015年頃から平均的な短期金利をターゲットとした大量の通貨発行が行われ、この結果、政府証券の金利が市場で決定されるというメリットが無効化された。
さらに、柔軟なインフレ目標と、潜在的な生産能力を基にした政策が導入され、スリランカでは積極的に短期金利の調整が行われた。その結果、多くの為替管理規制が強化され、外貨預金からの送金も制限された。
スリランカと同じ道を辿る? カンボジアの現状
カンボジアでは、預金なしで貸出を行うためのスタンディング・ファシリティやその他のツールがなく、銀行は慎重な資金管理を行い、健全な資本を維持してきた。しかし、スリランカやカンボジアでは、選挙で選ばれた政治家や議会は、通貨政策による不安定性に対処する手段を持っていない。
スリランカでは、独立した、あるいは非独立の中央銀行がIMFの「通貨政策の近代化」という名目のもと、政策金利を誤って設定し、選挙で選ばれた政府や民主主義そのものが、中央銀行の政策に左右されているという現実がある。
今後、カンボジアがスリランカのような状況に陥るかどうかは、今後の展開に依存しているが、IMFからの技術的支援が実施される可能性を考慮すると、過去の経験から見て、8年から10年ほどで同様の課題に直面する可能性が高いと考えられる。このような状況に備えるためにも、カンボジアもスリランカと同じく、通貨政策の見直しを検討する必要があるだろう。
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