前回は、企表面上の数値以外の要素も考慮したい「固定比率」の分析について解説しました。今回は、「固定負債」のチェックポイントを見ていきます。

80%程度が平均水準とされている「固定長期適合率」

④ 固定長期適合率

 固定資産÷(純資産+固定負債)×100%

 

《ある本に記載されている内容》

「固定長期適合率」とは、長期間運用されることを前提とした固定資産を、純資産と固定負債で、どれくらいまかなえるか、その比率をパーセンテージで表したものです。一般的には、80%程度が平均水準で、100%を超えると危険な状態と言われています。

 

固定資産とは、工場機械、土地、建物など、企業が長期間保有する資産です。

 

固定負債とは、流動負債と対になるもので、長期間返済の必要がない負債のことです。長期借入金や社債を指します。

 

つまり、固定長期適合率とは、固定資産をどれだけ、会社の資本と固定負債でカバーしているかを示す指標です。

固定負債が多すぎると「自己資本比率」も低下

《著者の視点》

固定比率に長期借入金を含めて評価するというのは、固定比率に比べると実態に即した評価になるのではないかと思います。

 

しかし、固定長期適合率が100%以下であっても、固定負債が多すぎると自己資本比率の低下となります。

 

また、返済するまでに返済原資をつくらなければなりませんので、借入規模が事業規模に見合った状態か判断する必要があります。

 

固定長期適合率で安全性を評価する際には、債務償還年数や借入金対月商比を併用し、固定負債が事業規模と比較して大きすぎないかを確認するのが望ましいと考えます。

 

【図表 固定長期適合率】

 

本連載は、2016年10月12日刊行の書籍『取引先の倒産を予知する「決算書分析」の極意』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

取引先の倒産を予知する「決算書分析」の極意

取引先の倒産を予知する「決算書分析」の極意

田中 威明

幻冬舎メディアコンサルティング

分業化、グローバル化が進んでいる現代にあって、自社のみで事業を営むことはできません。取引先の経営状況を正確に把握することは、これからの時代を勝ち残るために必要不可欠です。 しかし、教科書的な決算書分析の手法で、…

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