(※写真はイメージです/PIXTA)

Aさん(72歳)は45歳の娘が「保険料が安いから」と共済にしか加入しておらず、今後大丈夫かな? と不安に感じています。Aさん自身、民間の生命保険に入っていて大病をしたときにとても助かったので、できれば生命保険に入ったほうがいいのでは?と娘に勧めているとのこと。今回は同じような考えを持つ人に向け、CFPなどの資格を持つトータルマネーコンサルタントの新井智美さんが「共済と民間の生命保険の違い」について解説します。

民間の生命保険に向いている人とは?

民間の生命保険には、貯蓄性のある終身保険や養老保険、変額保険などがあり、保障を受けながら貯蓄できるというメリットがあります。また、定期保険や医療保険、がん保険は基本的に掛け捨てですが、入院や手術、通院だけでなく、働けなくなった際の保障も用意されているなど、保障の範囲の広さや充実度が高い点もメリットでしょう。

 

共済と民間の生命保険の大きな違いは、共済の場合、運営組織が破綻してしまうと保障が受けられないことです。民間の生命保険の場合、保険会社が破綻してしまっても「生命保険契約者保護機構」によって保険金を確実に支払うために、保険料の一部を積み立てている責任準備金の90%までが補償されるので安心できるでしょう。もちろんその後の契約に影響が全くないとは言い切れませんが、保障が全く受けられなくなる共済に比べると安心です。

 

これらのことから、共済に向いている人と民間の生命保険に向いている人には以下の違いがあります。

 

共済に向いている人の特徴として挙げられるのは、掛金が安く最低限の保障でいいと思っている人です。主に子どもなどは共済でも十分だと考える人も多いのではないでしょうか。

 

逆に民間の生命保険に向いている人とは。保障を受けながら貯蓄もしたいと考えている人や十分な保障を受けたいと思っている人です。

民間の生命保険に入ったうえで共済でカバー

Aさんの娘さんは45歳ですので、これから病気にかかるリスクも大きくなります。また働いているなら、働けなくなったきとの保障もあったほうがいいでしょう。もちろんケガや病気で休職することになったときには加入している健康保険組合から手当てが受け取れますが、実際に受け取れるのは申請してから2~3ヵ月後です。民間の生命保険だとすぐに保険金や給付金を受けられるため、その間の収入不足を解消できます。

 

一番いい方法は、現在必要な保障は何かを把握したうえで民間の生命保険に加入し、それでも不足する部分や不安に感じる部分があれば共済にも加入することを検討することです。そうすることで、民間の生命保険では保障の対象とならなかったケースでも共済では保障の対象となり、保障を受けられる可能性があります。

 

確かに保険料はずっと払っていくため生涯でみれば大きな額になります。しかし、がん保険のように、いったんがんに罹患した場合はその後完治したとしても加入できないといった制約もあります。

 

結果としてAさんの娘さんは老後の不安を少しでも和らげるために、必要と思われる終身保険や医療保険、がん保険は民間の生命保険で備え、不足する部分があれば共済を利用することを考え始めたそうです。

 

必要な保障は人によって異なります。ただ、後悔することはしたくないものです。

 

共済と民間の生命保険のメリット、そしてデメリットを理解したうえで、自分にあった保障を準備しておきましょう。また、民間の生命保険は加入してからもライフスタイルの変化に応じて見直すことも忘れないようにしてください。

 

 

新井智美

トータルマネーコンサルタント

CFP

 

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