(画像はイメージです/PIXTA)

アメリカにはGoogleやAmazonといった世界的に有名なIT企業がある一方で、日本のIT競争力は低下が続いているともいえる状況です。他業界から転身し、IT企業の代表取締役を務めている田中宏明氏の著書『SEの悲鳴 ITエンジニアを食い物にする多重下請け構造の闇』(幻冬舎メディアコンサルティング)より、日本のIT業界が国際競争力を失速させた要因について解説します。

ガラパゴス化から抜け出せない日本のIT業界

日本企業は可能な限り自社内ですべてを賄おうとする意識が強く、他社と協調してオープンな技術を追求する発想に乏しいという特徴があります。独自の技術や仕様を追求し、優れたものを作り出すことができるのに、結果、国際標準から乖離するという問題を生み出してしまいます。

 

ガラケーと呼ばれていた携帯電話のサービス、iモードなどがその例です。いわゆるITガラパゴス化です。

 

ITガラパゴス化がもたらす問題は多岐にわたります。国際標準から乖離した技術や仕様は、海外市場での採用を妨げる原因となります。また新技術の導入が遅れ、グローバルな技術進化に取り残されてしまうリスクもあります。日本企業は自社の業務に最適化されたシステムを構築するため、他社や海外のシステムとの互換性を欠き、連携が困難になるという状況に陥っています。これでは、グローバル市場で戦うのが難しいのも当然です。

 

またITガラパゴス化は、IT投資の効率性を損なう要因にもなっています。各社が独自のシステムを構築するため、無駄な重複投資が避けられません。さらに、旧式のレガシーシステムの維持コストがかさみ、新たな投資が制約されています。

 

日本のIT人材が適切に評価されず、守りのITを続けていれば、ガラパゴス化したシステムはますます膨らみ、状況は悪化していきます。

 

この問題から脱却し、日本のIT業界が国際競争力を高めていくためには、日本のIT業界特有の構造にメスを入れていく必要があるのです。

 

 

田中 宏明
株式会社ソフネット代表取締役

※本連載は、田中宏明氏の著書『SEの悲鳴 ITエンジニアを食い物にする多重下請け構造の闇』(幻冬舎メディアコンサルティング)より抜粋したものです。

SEの悲鳴 ITエンジニアを食い物にする多重下請け構造の闇

SEの悲鳴 ITエンジニアを食い物にする多重下請け構造の闇

田中 宏明

幻冬舎メディアコンサルティング

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