貧乏生活のどん底で気づいた「お金の正体」
メガバンクで働いていた私は、40歳を過ぎた頃に株で大失敗して借金地獄へと転落。多額の借金を背負い爪に火を灯す貧乏生活を経験。しかし、その後5年で借金を完済し、富裕層の仲間入りをした……という話は、これまでの記事でもお伝えしました。
その時期、貧乏生活のどん底の中で私はあることに気づきました。銀行員として得た金融のノウハウを駆使したのに資産運用に失敗して、とんでもない借金を背負ったことがきっかけとなり、お金の本質について深く思いを巡らすことになったのです。
あなたは「お金の正体」って何だと思いますか? 日頃私たちが「お金」という言葉を使うとき、それは円とかドルのような「通貨」の意味で使っています。また、経済学では「価値の尺度」「交換の媒介」「価値の保蔵」という3つの機能を持ったモノのことを通貨と呼んでいます。
しかし、それらはあくまでも「通貨の機能」を説明しているだけであって、お金の本質とはまったく関係ありません。そもそもお金とは、コインや紙幣のような「物」なんかでもありません。結論からいうと、世の中の人々の感謝の気持ちやお詫びの気持ち、それがお金の正体です。
社会に何らかの貢献をして、誰かを幸せにした結果として、あなたのもとに集まってくるものがお金なのです。そして、通貨とは「感謝の気持ちやお詫びの気持ち」をわかりやすく「見える化」したものにすぎません。
このことは、日常生活を振り返ってみるとよくわかります。たとえば、1万円の値段が付いているモノやサービスがあったとしましょう。そのモノやサービスを得ることであなたが喜びを感じて満足するのであれば、あなたは1万円を支払うはずです。でも、そのモノやサービスを得ることで満足感が得られなければ、あなたは1万円を支払いません。
これを逆の立場から考えてみると、相手が満足したり、感謝してくれるようなモノやサービスを提供できたりしたとき、初めて1万円をもらえるということになります。つまり、こうしていただける1万円という通貨は、相手の感謝の気持ちが具体的な数字として「見える化」したものだということ。
1万円という名の紙切れの上には、1万円という数字で表現された「感謝の気持ち」が乗っかっているというわけです。