現場が顧問を認めるハードルは高いが、不可能ではない
いかがでしょうか。これが顧問の真骨頂というものです。顧問という役職の理想形のひとつともいえるでしょう。Aさんのケースは、ほかでは見られないスーパースターの物語だったかもしれません。
しかし言い方を変えれば「ここまでやらなければ現場は顧問を認めない」という事例でもあります。社員は、基本的に外から来た得体の知れない人の言うことは聞きません。実際に色々なことを手取り足取り教わり、自分たちの会社の経営陣からは出てこない視点やメソッドを知り、知るだけでなく二人三脚で取り組み、自分たちの成長を実感し、また自分たちが結果を出せるということを理解する……こうしたことがあると人は初めて顧問の存在を認め、自発的に動くようになるのです。
このエピソードでは、Aさんが社長に匹敵する働きをしていることがわかるでしょう。世のなかにはこういう顧問が実際に存在するということを、ぜひ認識しておいてほしいと思います。顧問という存在が大活躍するヒーローズ・ストーリーは遠い世界の話ではなく、現実にあり得るのだということです。
福留 拓人
東京エグゼクティブ・サーチ株式会社
代表取締役社長