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活況に満ちている⁉ ドバイ不動産に対する間違った認識
――ドバイ不動産は世界の富裕層から人気が高く、値上がりが続いていると聞きます
埜嵜:確かに「ドバイ=富裕層」というイメージは広く知られていますが、投資においては現状を正しく認識する必要があります。英国の投資コンサルティング会社ヘンリー・アンド・
またドバイ不動産が活況に満ちているという触れ込みも多いですが、ここでも冷静に見ていく必要があります。まずドバイ不動産は何の通貨で取引されているかご存じですか? ドバイの通貨「AED(ディルハム)」です。ドバイ不動産が値上がりしたというのは「200万AEDで買った不動産が300万AEDで売れた」というようなことをいいます。しかしよく耳にするのは、「1億円で買ったドバイ不動産が1億2,000万円で売れた」というような声です。これは不動産が値上がりして利益が出たのではなく、為替差益によるところが大きいと考えられます。
ここ3年でみると、対AEDで36%ほど円安が進行しました。「1億円で買ったドバイ不動産が1億2,000万円で売れた」というのは、実際は10%ほど不動産価格は下落したけれど、為替差益により利益が出たということであり、「不動産が値上がりした」とはいえません。
――「ドバイ不動産で儲かった」という声をそのまま鵜呑みにせず、不動産が値上がりしたからなのか、為替によるものなのか、見極める必要があるということですね。実際、ドバイの不動産市況はどうでしょうか?
埜嵜:ドバイ不動産が活況だったのは3年ほど前のことで、このときはコロナ禍で新規の供給が停滞した一方で、ロシア・ウクライナ戦争によりロシア人がドバイの不動産に注目しドバイ不動産を買い支えていました。
しかし現在はロシア人が最大の売り手となり、またコロナ禍の終焉で再び新規の供給も増加しています。2022年から2023年にかけて不動産価格は大きく上昇しましたが、昨年末あたりから潮目が変化した印象です。
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現地の人は賃貸はしない…ドバイ不動産の特異事情
――難しい局面ですね。そのようななか、どのような不動産に注目すればいいのでしょうか?
埜嵜:ドバイの不動産であれば何でも値上がりする、という状況にはありません。そもそも200万AED以上の不動産を購入すると「ゴールデン投資ビザ」を取得できることから、ドバイでは200万AED~400万AEDほど、日本円でいうと8,000万~1億6,000万円ほどの不動産が多く供給されています。
ゴールデン投資ビザを取得して、自身で住むのであれば何ら問題ありません。しかし、この価格帯の不動産を貸す場合、どのような層をターゲットにしたらいいでしょうか。前出のとおり、ドバイの人口は300万人ほどですが、約92%は外国人労働者で、残り8%がUAE市民です。外国人労働者は低収入でこの価格帯の家賃を払うことはできません。またUAEでは結婚すると土地が支給され、家を建てる場合、銀行は無利子で融資してくれます。そのような状態で、わざわざ家を借りる人はゼロとはいいませんが、かなりレアです。必然的に、この価格帯の不動産のターゲットとなるのはドバイに移住してきた外国人富裕層になります。
外国人富裕層から人気の高いドバイ不動産はどのようなものなのかというと、ひとつがシーサイド、海沿いに建つ物件です。しかしドバイでもシーサイドの物件は供給も限られます。つまり稀少性の高い不動産なんですね。そのため今後、上昇が期待できます。
たとえば富裕層からも人気の高いブランド、エルメスで考えてみましょう。エルメスであれば何でもかんでも値上がりするわけではないですよね。バーキンは人気が高く、数に限りもある。希少性が高いので値上がりするわけです。これは不動産でも同じです。
――ほかにドバイ不動産で勝つために考えるべきことは、どのようなことでしょうか。
埜嵜:家具を入れたほうが借り手は見つけやすい傾向はありますね。先述のとおり、ドバイで家を借りる人は、ドバイに移住をしてきた外国人富裕層です。もし、自分だったら――と考えてみてください。日本から移住してくる場合、色々と日本から持ってくるでしょうが、さすがに家具や大型の家電を持ってくる人はいないでしょう。そのようななか「家具や家電が揃っている不動産であれば、ドバイでの生活をスムーズに進めることができます。
結局は誰をターゲットにするかです。部屋を借りるのはドバイに移住してきた外国人富裕層です。必要なものがある程度揃っていれば、高い競争力を発揮するでしょう。
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