(※写真はイメージです/PIXTA)

老後資金に不安を感じる人は多いでしょう。しかし、いわゆる富裕層といった、お金に余裕のある人たちであっても、老後にはさまざまなリスクが潜んでいて……。本記事では、羽田さん(仮名)の事例とともに、老後の資金管理の注意点についてFP相談ねっと・認定FPの小川洋平氏が解説します。

資産管理方法を現役のころと同じまま老後に入ると…

今回の羽田さんのように、家族が認知症になってしまったことでお金はあるはずなのに使えない、不動産や有価証券を処分できないといった問題は少なくありません。

 

そのため、認知症や脳血管疾患など判断力が失われてしまうような病気のリスクが高まる老後の後半戦には、そういった場合に備えて家族が資産を管理しやすいように対策しておく必要があります。

 

たとえば、今回のようなケースでは事前に自分達が施設に入った場合にはどのような施設に入りたいかを元気なうちに相談しておき、贈与したり、お互いに自分たちがそのような状態になった場合に備えて生命保険会社の介護保障つきの保険を契約したりしておくことも大変有効な手段の1つです。

 

生命保険は受取人や指定代理請求人を指定することができ、被保険者が所定の介護状態に認定された場合に保険金を支払ってもらえるタイプの保険もあります。

 

一時払いの終身保険ですと、所定の介護状態になれば保険金で受け取ることができ、何事もなく元気で長生きすれば解約、減額をしながらお金を引き出して生活費に充てることもでき、亡くなった際には死亡保険金として受け取ることができます。

 

今回のようなケースではまだ元気なうちに夫婦で相互にこういった保険を契約し、受取人や指定代理請求人を子供達の誰かにしておくことで、このような場合にお金を使うことができるようになります。

 

また、生前に自分が信頼する人に自分の財産の管理を任せる任意後見制度や、財産の一部の管理を任せる家族信託などの制度もありますので、まずは自分がどうしたいのかを明確にし、しっかり仕組みを整えることが大事です。

 

現状、保険で運用をしても資産は大して増えないが…

現役のころはこういったリスクは小さいため、あまり重視せずに、iDeCoやNISAなどの方法を中心に、税金をお得にできるだけ手数料が引かれない金融商品で資産形成を行うことで効率よく老後の資産を創ることが可能です。しかしシニア世代にとっては、効率よりもこういった場合に家族がお金を使えるようにすることや、遺産分割対策や納税資金確保のために生命保険を中心に資産を管理したほうがよいといえます。

 

まだまだ元気なころにはなかなか考え難いことかもしれませんが、元気なうちでなければ選択肢が限られてしまうことも多いため、「まだ早い……?」と思えるうちが対策を考えるべきタイミングです。

 

新NISAが話題になってはいますが、シニア世代にとってはこういった認知症対策や相続対策を意識しながら、生命保険でこういった場合の資金準備を行いつつ、NISAは自分の好きな会社の株や投資信託等を買うために活用してもよいでしょう。

 

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