認知症は「もしも」ではなく「なるだろう」
今回はお金はあるはずなのに、夫の認知症により自分の希望する施設で余生を過ごすことができなかった羽田さんの事例をお伝えしました。
2013年に公表された厚生労働科学研究費補助金認知症対策総合研究事業報告書によると、後期高齢者と呼ばれる75歳~79歳までの男性の認知症の発症率は11.7%、女性は14.4%、80歳~84歳では男性は16.8%、女性は24.2%とされ、年齢階級が上がれば上がるほど発症率は高くなっていき、かなりの高確率で認知症が発症することがわかります。
認知症は「もしも」というよりも、「なるだろう」と思って対策しておくべき病気といえるものなのです。そして、その場合のリスクについては多くの人が気が付かないまま老後の生活を送っています。
昨今のNISAやiDeCoのブームと同時に、生命保険で資産を運用、管理することに対し「コストが高い」などといった理由で「保険で運用は損」というような認識が若い世代を中心に広まってしまっています。しかし、老後にはしっかり使えるお金を確保し、遺産分割対策や相続税納税資金のためには収益性を狙いつつ流動性も確保できる大変有益なものです。死亡や認知症、介護のリスクが高まる老後では、優先的に検討すべきともいえるものです。
リタイア後の生活資金の運用、取り崩しを考える際には、相続対策も含めて自分の判断能力の低下の対策もセットで考えるようにしておきましょう。
小川 洋平
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