前回は、家賃滞納によるオーナーの損失は「保証会社」の利用で防げるかどうかを取り上げました。今回は、いわゆる「悪徳不動産業者」が近年減っている理由について見ていきます。

「宅建業法」は悪徳不動産屋から一般人を守る法律

「あんみつ」は甘い食べ物で誰でも知っていますが、「せんみつ」なる言葉があります。

 

この「せんみつ」、実は不動産屋を指します。1000の話をしても本当の話は3つだけ、という意味で、「不動産屋の話には気をつけろ」という戒めの言葉でもあります。

 

その昔、不動産屋は悪事を働く人が多く、法律を知らない一般の人をだまし、物件の短所ばかりをならべたてて相場より安く買い上げる業者や、ビルを建てるために居住者を強引な手口で強制的に立ち退かせたりする地上げ業者なるものが暗躍した時代もありました。口先ひとつで儲け話をしたり、中には地面師のような詐欺を働いたりと枚挙にいとまがありません。

 

不動産屋の法律、宅建業法はどんな法律かといえば、ズバリ「一般の人を守り、適正な契約を行うため、不動産屋が悪事を働かないようにしばる法律」といえます。よくいわれるのが、狼(不動産業者)から羊(一般の人)を守る法律ということです。

大家さんからの信頼を得ている会社なら・・・

しかし、悪事を働けば長続きはしませんし、そんなに急いで不動産を買い上げる必要もないのです。人間は必ず亡くなり、代替わりしていきます。土地や不動産を持っているような人には当然、相続がかかわってきて、遺族は相続税を支払わなければなりません。相続税は最大55%、しかも支払い期限は亡くなってから10カ月以内。それを過ぎると重加算税といって、とんでもなく高い税率が課されることになります。

 

ほとんどの場合、相続税の支払いのために不動産を売却することになるため、常日頃からまじめに大家さんとお付き合いして信頼を得ていれば、土地やビルの売買の相談や依頼がくるのです。大家さんとのつながりをないがしろにしている業者に限って、悪事を働くのです。

 

筆者の会社では、大家さんから直接物件を預かって入居者を紹介させていただいた場合については、管理を承っていない物件であっても、退去の敷金精算から現状復帰工事の相談など、最後まで大家さんとのつながりを大事にしています。当然、クレーム処理等も至極当たり前のことです。

本連載は、2016年10月21日刊行の書籍『誰も知らない不動産屋のウラ話』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

誰も知らない不動産屋のウラ話

誰も知らない不動産屋のウラ話

川嶋 謙一

幻冬舎メディアコンサルティング

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