前夫が再婚して子供が生まれたらしいです。養育費は減らされる?親権者と子供の生活を支える「養育費」、トラブル回避のために知っておくべきポイントとは?【弁護士が解説】

前夫が再婚して子供が生まれたらしいです。養育費は減らされる?親権者と子供の生活を支える「養育費」、トラブル回避のために知っておくべきポイントとは?【弁護士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

離婚後、「養育費」を受け取らなければ親権者と子供の生活が成り立たないといったケースも少なくありません。各々の経済事情や家庭環境が変わった場合、生活の要である養育費にはどのような影響があるのでしょうか? 本稿では、上谷さくら弁護士の著書『新おとめ六法』(KADOKAWA)より一部抜粋して、養育費の取り決めに変更が生じる具体的なケースと、養育費の未払い等といったトラブルへの対処法について解説します。

手続き:養育費が支払われないときは?

養育費が支払われなくなった場合、父母がなんら書面を交わしていなかったり、個人的な合意書を交わしているだけの場合、養育費請求調停を申し立てるなどの法的措置が必要になります。

 

● 履行勧告(家事事件手続法第289条)

家庭裁判所で養育費の条件について調停が成立したり、審判が出されていた場合は、まず裁判所にお願いして、相手に支払いを促してもらうことができます。家庭裁判所に電話をするだけでよく、無償です。支払いを強制はできませんが、支払い義務者が会社員の場合「このまま支払わないと給与が差し押さえられるおそれがあるので気をつけてください」と言われると、多くの場合は支払いに応じる傾向にあります。

 

● 履行命令(家事事件手続法第290条)

履行勧告を無視された場合、裁判所が支払わない相手に対し、支払うよう無料で命じてくれる制度です。相手がこれを正当な理由なしに無視すると、10万円以下の過料に処せられます。ただし、養育費を強制的に支払わせることはできません。

 

● 強制執行

それらの手段を講じても相手が支払わない場合は、強制執行するしかありません。ただし強制執行については、養育費の支払い条件について、公正証書を作成していたり、調停調書や審判書があることが前提です。したがって、将来、不払いになった場合に備え、強制執行ができる形にしておくことが重要です。

 

● 財産開示手続き

強制執行しようにも、離婚後、相手がどこに勤めていてどのくらい収入があるのかなどがわからない場合は、「財産開示手続き」を利用できます。この手続きで、支払い義務のある者が不誠実な対応をした時は(不出頭、虚偽申告など)、「6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金」となります。

ポイント:養育費の取り立てがしやすくなった

 

離婚時に子供の養育費の取り決めをしていても、離婚後、支払わなくなり、財産を差し押さえしようとしても、どこに財産があるのか、今の居住地や勤務先がどこなのかもわからないため、泣き寝入りしなければならないケースがありました。

 

そこで、2020年4月から、養育費の取り立てがしやすくなるよう民事執行法が改正されました。

 

養育費の取り決めのある調停調書や公正証書がある場合、地方裁判所に申し立てると、裁判所が支払い義務者の預貯金の口座情報や勤務先の情報を、金融機関や市町村などから取得できるようになりました。

 

 

上谷 さくら

弁護士(第一東京弁護士会所属)、犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務次長

 

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※本連載は、上谷さくら弁護士の著書『新おとめ六法』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

新おとめ六法

新おとめ六法

著者:上谷 さくら

イラスト:Caho

KADOKAWA

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