地獄が垣間見えた3週目の頭
さらに悪いことに、彼は日を追うごとに投資頻度を増し、三週目の末には、デイトレーダー[日々の価格変動を利用して利益を得ようと多額の取引を行う者のこと。通常、夜間に市場の暴落やブラックスワン事象が生じることを恐れて、すべての未決済のポジションを1日の終わりに決済する]気取りになっていたようだ。
初期の成功に自信を得た義弟は、どんどん大胆になり、より頻繁により多額の賭けをするようになった。その後の血の海は当然の結末である。2週目の半ばまでには、勝ちは見当たらなくなった。あるのは負けに次ぐ負けだけで、損失が積み重なっていった。3週目の頭には、彼の魔法の手は黒魔術を働くようになり、地獄が垣間見えてきた。
残高が5万ドルを下回った頃、投機的なクズ株や無価値なクズコインに多額の賭けをしていた形跡に、義弟の必死さが伝わってきた。6週目の末までに、勝負は決まっていた。丸々1ヵ月以上、勝ちがひとつもなく、残高は1万ドルを切り、3000ドルに向かっていた。
どうやったらここまで一貫してヘタを打ち続けることができるのだろうか? ほかの面で義弟がどんな人物かを知っている身としては、本当に不思議だった。
ジョーダン・ベルフォート
投資コンサルタント
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