ツイッター民「ひたすら難平買いを続け、上げ潮で救済されるのを待つしかない」
ただひとつの問題は、普段ならシンプル極まりないこの原則が、長期にわたる好景気の最中には、なんとも複雑になってしまうことだ。過度な好景気のとき――市場が沸き、チャットルームやツイッター[訳注:現X]などのアカウントや評論家たちが、この上り調子に終わりは見えないと異口同音にはしゃいでいるとき――。
人間というのは、それが永遠に続くと思ってしまう。突如、株式市場と野菜市場の区別もつかない素人投資家が自分を専門家だと思い込み、猛烈な速度で売買を繰り返し始める。投資の世界で初めて手にした儲けを自身の天賦の才のおかげだと固く信じ、その信念に勇気づけられ、彼らの自信は日を追うごとに強固なものになる。
このような素人投資家の投資戦略は必ずと言っていいほど短期に限られる。賭けが当たれば、すぐに利益を確定して脳内をドーパミンで満たして気持ち良くなる(株価がその後も上がり続けたとしても、気にしない。「利益は利益じゃないか。利益を得ている限り、破産することはあり得ない」と言って)。
そして賭けが外れれば、ひたすら難平買い[ナンピンがい。高い価格で買って保有している株をさらに買い増すことで、平均購入単価を下げ、株価が再び上がったときの利益を増大させようとすること。「押し目買い」とも言う]を続け、上げ潮ですべてが救済されるのを待つ。
彼らにはそれしか道がない。だって、ツイッター界ではみんなそうするよう勧めるから。それに、今までずっとそれでうまくいってきたし。市場ってものは必ず戻ってくるって言うじゃないか。
いやいやいや、必ずしもそうとは限らない。実際、市場は上がったり下がったりを繰り返す。そして市場が下がるとき、つまり、1999年のドットコム・バブル崩壊や2008年の住宅バブル崩壊みたいに本当に暴落するときは、上がるときとは比べ物にならないくらい急激に、そして大幅に下落する。幾年かの経験を有するプロの投資家は誰でも、これに同意するはずだ。
このことはひとまず置いておいて、フェルナンドの話に戻ろう。義弟の無惨なポートフォリオは市場のせいじゃない。少なくとも表面上は。細かく見ていこう。
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