手続き:パートナーが不倫していたら……
不貞行為が認められる場合、その配偶者は離婚を請求できるほか、相手の不貞行為によって生じた精神的な苦痛に対して慰謝料も請求することができます。不貞行為を立証するには、配偶者以外の人と性行為があったことを証明する必要があります。不貞行為が行われている時期が長いほうが、違法性は強くなります。
メールやLINEなどのやりとりの履歴は、強力な証拠となることが多いです。不倫しているパートナーのスマホにそれらが残っている場合、写真を撮るなどして証拠化しておきましょう。探偵に依頼して不倫相手とホテルに入る場面を撮った写真も重要な証拠になります。
不倫が発覚したとたん目が覚めて反省し、夫婦関係を修復したいと言う人もいます。その申し出を受け入れられるかどうかについてはよく考え、話し合ってみましょう。婚姻期間の長さ、夫婦の年齢、財産の有無、子どもの有無、子どもの年齢などが、結論を出すにあたって大きな要素となるでしょう。どうしたらいいのか判断できない場合、別居して冷却期間を置く、というのも一つの方法です。
ただし、別居すると不倫相手と会いやすくなるうえ、別居期間が長くなれば、婚姻関係が破綻していると判断されるおそれもあります。別居期間中にどのようにコミュニケーションを取るのか、修復に向けた別居なのか、離婚に向けた別居なのか、別居の目的についても、別居前に話し合っておくのがよいでしょう。
なお、別居期間中は、収入が少なかったり、子どもと同居しているほうが「婚姻費用」という生活費を請求できる法律上の権利があります。
ポイント:浮気と不倫の違いって?
「不倫」は婚姻関係にある場合に、一方の配偶者が第三者と性的関係を結ぶことです。
「浮気」は婚姻関係にない場合に、パートナーが第三者と性的関係を結ぶことです。
ただし、「不倫」を「浮気」と呼ぶこともあります。どこから浮気になるかは、人それぞれですが、パートナーが疑わしい相手とランチに行ったからといって、慰謝料請求しても認められません。
不倫に対する慰謝料というのは、不倫によって「平和な結婚生活を送る権利」を侵害されたときに、配偶者やその不倫相手に対して請求することができるものです。婚約中や事実婚の場合は、慰謝料を請求できる場合があります。法律婚の夫婦とまったく同じではありませんが、恋人関係よりは夫婦に近いと考えられるからです。
あなたを守る法律
民法 第770条 裁判上の離婚
1 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
①配偶者に不貞な行為があったとき。
⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
上谷 さくら
弁護士(第一東京弁護士会所属)、犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務次長
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