(※写真はイメージです/PIXTA)

酷暑や台風の影響により、野菜の高騰が続き、日常通うスーパーや飲食店で値上げを実感することも多いでしょう。さらに、レジャー施設や宿泊費、交通運賃の値上げも畳みかけ、物価高が夏休みの家計を圧迫しています。なかでも、可愛い孫たちが遊びにくる、年金収入頼りの高齢者へ影響は顕著なもので……。本記事では、金沢さん(仮名)の事例とともに、老後のマネープランについてFP相談ねっと・認定FPの小川洋平氏が解説します。

孫がいない日は豆苗がおかずのメイン

さて、いつかは孫7人を連れ、ディズニーランドへ行きたいと考えている金沢さん夫妻。昨今の酷暑を受け、庭で作っているトマトやナス、キュウリなどの野菜の育ちが悪く、スーパーで購入するともっと高いというのが目下の悩みです。

 

そこで、育った少ない野菜は基本冷凍し、孫たちが来たときのためにとっておくことにしました。最近のメインのおかずはもっぱら豆苗です。葉と茎を食べ終わったあと、根を水に浸しておけば、新しい芽が伸びて1週間ほどで再収穫できます。クーラーを入れた日の当たる部屋で一緒に過ごしているだけで簡単に育つので、外気温に影響されず、これはいいと夫婦ではまりました。

 

3回収穫したら、近所のスーパーで1袋99円のものを購入することにしています。いまのところ豆苗は値上げの影響を大きく受けていないようで、安心です。

 

「年をとって食欲も落ちてきたからちょうどいいね」と笑いながら、浮いた食費をディズニーランド貯金に回しています。

老後の資金計画は「収支がちょうど」では足りない

平均的な老後の支出の目安として、総務省のデータでは26万円~27万円とされています。しかし、必要な生活支出に加え、趣味や旅行を楽しむためのお金や、子供や孫たちへのプレゼントのためのお金や、一緒に旅行を楽しむようなお金も含めると、それでは心もとないという方も多いものです。

 

年齢を重ねても元気でいるための秘訣として、なにか楽しみや熱中できるものを持つことがあります。そのためには趣味に掛ける費用やコミュニティに所属するための費用、旅行の費用など、生活費以外にも支出が必要となります。老後にはただ生活していくだけでなく、そういった趣味や楽しみのための費用もしっかり見込んでおくことが大切です。

 

「普段あまりお金は使わないから……」そう思っても、ある程度余裕を持った資金計画を立てることが大事です。現役のころから老後に向けて資産形成を行うことが重要ですが、今回の金沢さんのように子供たちが独立するのが老後の間際になり、定年退職までに資産形成が間に合わないような場合には、

 

・公的年金を繰り下げて受給し年金の受給額を増やすこと

・老後に少しでも働いて収入を得ること

 

などで老後の収入を増やすことも可能です。

 

また、介護が必要になった際に、高齢者施設に入居したり、ひとり暮らしになったりするような場合には、高齢者向けのマンション等、見守りサービスが尽いた住居への入居のための費用の準備も必要です。金沢さんのように、豆苗がメインのおかずになり、栄養が偏ると、病気になりやすくなったり、骨粗鬆症となってケガのリスクが高まったりする可能性があります。無理のある節約では小さな積み重ねでその後の生活に響く可能性も。

 

がむしゃらに節約に励むのではなく、生活費に限らない、ケガや病気となった場合の資金も含めての資金計画を立てておくことが大事ですね。

 

 

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