障害基礎年金のキホン
また、障害基礎年金の受給者には「障害年金生活者支援給付金」が給付されるが、月額は1級が6,638円、2級は5,310円となっている。
「障害年金生活者支援給付金」の給付条件は「前年の所得が472万1,000円以下+扶養親族人数×38万円」であることだけなので、ほとんどの人が受給できる。1級ならば、障害基礎年金と合わせて年額約110万円、2級ならば90万円というのが、ざっくりとした金額だ。
一方、厚生年金加入者の場合は、この障害基礎年金に障害厚生年金が加算される。ただ、障害厚生年金の額は、収入、すなわち納めてきた年金保険料によって給付額が異なるので計算が難しい。
障害年金と老齢年金、どちらが有利?
ちなみに、障害3級の場合の最低保障額は月額5万1,000円となっている。1級の場合は、報酬比例の厚生年金額の1.25倍、2級の場合は1.00倍となっている。
個人ごとに異なり、計算が複雑なので、専門家はあえて金額を明らかにしないのだが、とてもざっくりと言うと、平均的な障害厚生年金の年額は2級で100万円程度、1級で125万円程度だろう。
障害基礎年金と合わせると、障害年金の総額は、年額で2級の場合で190万円程度、1級の場合で235万円程度ということになる。
さらに子どもがいる場合には加算もあるので、けっして余裕のある生活ができる金額ではないが、勤労収入と合わせれば、生活できない水準ではない。
なお、障害年金は老齢年金との併給ができない。だから、高齢者はどちらかを選ばないといけない。とくにがんの診断を受けたときに厚生年金の加入者だった人は、どちらが有利になるのかきちんと計算することが必要だ。
その際、注意すべきことは、障害年金は非課税と定められており、所得税や住民税がかからないということだ。老齢年金は、雑所得として所得税も住民税も課税される。だから、手取りベースでの比較が不可欠になるのだ。
また、障害年金の申請は自分でもできるのだが、年金事務所への申請には、それなりのノウハウが必要なので、まず申請に慣れている社会保険労務士に相談するのがよいかもしれない。
森永卓郎
経済アナリスト
獨協大学経済学部 教授
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