自営業者は、元気なら高齢者でも稼げる
自営業者の公的年金はサラリーマンと比べて見劣りしますが、それでも(若いときに年金保険料をしっかり払っていれば)夫婦2人で毎月13万円程度受け取れますので、老後資金の最大の柱のひとつであることは疑いありません。
何より心強いのは、自営業者には定年がないので、元気な間は現役として稼ぎ続けることができる、ということです。サラリーマンが定年後、再雇用等で収入が激減しかねないことを考えると、大変に恵まれているといえるでしょう。
年金の支給が開始されても現役として稼ぎ続けることで、老後資金が順調に溜まっていくでしょうし、寿命が延びた分だけ健康寿命も延びるとすれば、「老後」は長くならないので、ますます安心ですね。
もっとも、体が弱くて十分に稼げない人、就職氷河期に正社員になれずにアルバイトで生計を立てている人、などは老後の資金不足が深刻な問題となりかねないので、早めに行政の支援等について調べたり相談したりしておいたほうがよいかもしれませんね。
足りなければ生活を見直し、それでも足りなければ節約しよう
最近の高齢者は元気ですから、65歳を過ぎても働いて生活費を稼ぐ人も多いようです。それならば、年金の受け取り開始を遅らせるという選択肢も要検討です。それにより、たとえば70歳から受け取り開始すると毎月の年金額が42%増えるので、サラリーマンはそれで十分でしょうし、自営業者も相当助かるはずです。
それから、生活を見直しましょう。たとえば、定年退職後のお爺さんが生命保険の保険料を払い続けているケースを見聞きしますが、生命保険は必要でしょうか。お爺さんは退職金を受け取っているので、万が一のときはお婆さんがそれを相続するはずですから、お婆さんが(悲しむことはあっても)老後資金面で路頭に迷うことは考えにくいかもしれません。
都会に住んでいる人は、自動車を手放して公共交通機関で生活することも検討してみましょう。筆者は自動車を手放しましたが、相当贅沢にタクシー代を使っても自動車の維持費等々と比べると費用が浮いています。
そうした努力や工夫をしてもなお老後資金が足りないときには、ビールを発泡酒に変えるといった節約も必要でしょうが、節約しすぎは心の負担となりかねないので、まずは「働いて生活を見直す」ことを優先してはいかがでしょうか。
本稿は以上です。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があり得ます。
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塚崎 公義
経済評論家
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