日経平均株価〈過去最悪の下落〉で大混乱の日本株市場だが…経済の専門家が「これから絶好の買い場になる」と考えるこれだけの理由

日経平均株価〈過去最悪の下落〉で大混乱の日本株市場だが…経済の専門家が「これから絶好の買い場になる」と考えるこれだけの理由
(※写真はイメージです/PIXTA)

日経平均株価は7月11日に史上最高値となる42,224円をつけて以降、8月5日には史上最大の下落幅(-4,451円)を記録して31,458円をつけたことで、わずか1ヵ月弱のあいだに最大1万円超の下落となりました。もっとも、株式会社武者リサーチ代表の武者陵司氏は「絶好の買い場となる可能性が高い」といいます。足元の株価大暴落の要因と、絶好の買い場といえる理由について、詳しくみていきましょう。

株価大暴落の要因と今後の相場見通し

株価急落は“失われた30年”の戒めか

もうひとつの懸念は、財政からの景気抑制要因である。円安インフレにより政府の税収が大きく膨れ上がっている。政府はプライマリーバランスが2025年度に黒字になるとの試算をまとめたが、それは2023年の-5.2%(OECD2023年11月)からの鋭角的回復になる。

 

逆からみれば、財政が2024~2025年にかけて民間需要を年間2.6%押し下げるということを意味する。円安インフレは家計から実質所得の減少という形で所得を奪っているが、政府には巨額の所得移転をもたらしているのである。

 

この、政府の税収増という巨額の所得をそのままにしておけば、民間消費は大打撃を受けることになる。

 

現時点においては円安のデメリットを受け続け、繁栄の波に入れていない個人を救済する必要があるが、その処方は明らかである。インフレによって潤った財政が「恒久減税」という形で、インフレによって富を奪われた国民にお金を返還するべきであろう。

 

過去2000年と2007年の2回、日本は時期尚早の財政・金融引き締めによって景気後退を深刻化させ、10年で終わるはずの失われた時代が、20年、30年と続いた。今度こそ過去の誤りを繰り返さないように、日本株価の急落はそのことを戒めていると考えられる。

市場がこれから“絶好の買い場”となる見込みも

とはいえ、「10年にわたって続いた日銀のリスクテイク促進が、一気にリスクテイク抑制へとシフトした」とする見方は、日銀にとって至極不本意なはずである。また米国経済の減速は利下げを促進することで株高要因ととらえられるはずである。

 

日本政府はすでに株価下落を注視するとのメッセージを発しており、日銀からも市場を安堵させるトーンの発言が出てくるかもしれない。「誇大表示のパラダイム大転換」を織り込もうとした市場の急落場面は、絶好の買い場となる可能性が高いと思われる。

 

好調な企業業績、急激に魅力度を強めた株式バリュエーションは、日本株持たざるリスク(FOMO)を感じている全投資主体には“良い買い場”を提供しているのではないだろうか。

 

 

 

武者 陵司

株式会社武者リサーチ

代表

 

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※本記事は、武者リサーチが2024年8月4日に公開したレポートを転載したものです。
※本書で言及されている意見、推定、見通しは、本書の日付時点における武者リサーチの判断に基づいたものです。本書中の情報は、武者リサーチにおいて信頼できると考える情報源に基づいて作成していますが、武者リサーチは本書中の情報・意見等の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。かかる情報・意見等に依拠したことにより生じる一切の損害について、武者リサーチは一切責任を負いません。本書中の分析・意見等は、その前提が変更された場合には、変更が必要となる性質を含んでいます。本書中の分析・意見等は、金融商品、クレジット、通貨レート、金利レート、その他市場・経済の動向について、表明・保証するものではありません。また、過去の業績が必ずしも将来の結果を示唆するものではありません。本書中の情報・意見等が、今後修正・変更されたとしても、武者リサーチは当該情報・意見等を改定する義務や、これを通知する義務を負うものではありません。貴社が本書中に記載された投資、財務、法律、税務、会計上の問題・リスク等を検討するに当っては、貴社において取引の内容を確実に理解するための措置を講じ、別途貴社自身の専門家・アドバイザー等にご相談されることを強くお勧めいたします。本書は、武者リサーチからの金融商品・証券等の引受又は購入の申込又は勧誘を構成するものではなく、公式又は非公式な取引条件の確認を行うものではありません。

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