就職・結婚・昇進・妻の出産…まさに順風満帆の人生だったが
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【Aさん(仮名)】
・40代男性
・商社勤務
・年収1,000万円
・4人家族(専業主婦の妻、小学生の子ども2人)
・わが子のために「教育向き」の地域でマイホーム購入を検討中
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大学卒業後に商社へ就職し、30歳で結婚したAさん(仮名・男性)。専業主婦の妻に支えられながらキャリアアップを重ね、子ども2人にも恵まれるなど、まさに順調な人生を歩んできました。40代となった現在、年収は1,000万円に到達しています。
これまで賃貸物件に住んでいましたが、Aさんの海外赴任が終わったこともあり、教育面で安心できる地域での住宅購入を検討することに。不動産業者に案内された物件のうち、駅から徒歩10分以内の子育て世帯向きのマンションが気に入り、仮審査を申し込むことにしました。
その物件は5,300万円の新築マンション。Aさんは金利の低い金融機関に、借入額5,000万円で仮審査を申し込みました。
一般的に住宅ローンの借入額は「年収の5~7倍」が目安と言われます。冒頭でも紹介したように、Aさんは年収1,000万円、勤続年数18年の商社マン。借り入れにあたっては何の不安もなく、不動産業者からも審査は問題なく通るだろうとお墨付きをもらっていました。
――ところが。
後日、まさかの「審査落ち」の連絡が届いたのです。
「え、何がダメなんですか!?」
何かの間違いではないのか。想定外の結果に驚いたAさんは金融機関に確認しましたが、基本的に金融機関が審査落ちの理由を説明してくれることはありません。Aさんの場合も「トータルな判断」との回答で、詳細な理由はわからずじまい。
自力ではどうすることもできない…。Aさんは住宅に強いファイナンシャルプランナーへ相談することにしました。
住宅ローン審査に落ちる理由とは?
なぜAさんは住宅ローン審査に落ちてしまったのでしょうか。
住宅ローンの審査金利は、金融機関によって審査基準などは異なるものの、いくつか想定される理由があります。以下に挙げてみましょう。
【審査に落ちる理由①】信用履歴の問題
どんな高収入の方でも、過去にクレジットカードの不正利用や債務不履行の記録がある場合、信用履歴が悪くなり、審査に影響することがあります。
「信用履歴」は聞き慣れない言葉ですが、個人情報、過去のローンの借り入れや返済履歴、債務整理などの情報は信用情報機関に取りまとめられ、事故歴がある場合はブラックリストとして記録されています。
この信用履歴は、スマホなどの携帯電話本体料金の割賦契約や、住宅ローン、奨学金などの支払いも影響してきます。
意外に知られていないのが、携帯料金の請求に対して遅延した場合です。特に携帯電話代の支払いが遅くなっても信用情報には問題がないように思われますが、実はスマートフォン購入は割賦契約として含まれている場合が多いのです。そのため、延滞履歴が個人信用情報に記載されてしまう点には特に注意が必要です。
【審査に落ちる理由②】負債の金額
高収入でも、多額の借金や他のローンの返済がある場合、月々の返済負担が大きくなり、住宅ローンの返済能力が不安視されることがあります。そのなかに不動産投資も含まれますので、独身時代に勧められたことがある場合など把握しておきましょう。
【審査に落ちる理由③】雇用の不安定さ
源泉徴収票や確定申告などから年収の調査がなされますが、その際に現職の勤続年数が短いと「収入が不安定」とみなされることがあります。
また高収入でも、インセンティブの割合が多い営業職の方は、年収と比較して基本給が少なくなります。年収にバラつきが生じる職種の場合も、収入が不安定だとみなされることがありますので注意しましょう。
転職回数が多い場合には審査にマイナスとなりますが、最近ではキャリアアップ転職の場合は特に影響を受けなくなっています。
上記3つが、審査に落ちる理由として想定されるものです。
今回Aさんに詳しくお話を伺ったところ、海外出張の渡航費や接待交際費などをAさん個人のカードで立て替える場合があるとのこと(商社マンなどにはよくあるケースかもしれません)。これにより、会社の精算とタイミング合わず月々の返済が遅延していたようでした。
住宅ローン審査に落ちやすくなる要因
以上が主な要因ですが、次のことにも注意しましょう。
【注意①】「体の状況」は本審査で落ちる要因
一般的に、住宅ローンは団体信用生命保険に加入することが条件になっています。団体信用生命保険とは、住宅ローン契約者に万が一のことがあったときに住宅ローン残高がゼロになる保険のことで、「団信」とも呼ばれます。
本審査では団体信用生命保険の加入に必要な告知書を記入する必要があるため、過去に高血圧や糖尿を告知書に記載された病気の治療歴がある場合は、本審査に通らないことがあります。
しかし体況面で不安な方は、フラット35やワイド団信などは団体信用生命保険が任意であるため、ローンが組める可能性があります。フラット35とは、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供する最長35年の全期間固定金利の住宅ローンです。
高血圧や糖尿病など持病がある人は、事前審査をする前に金融機関や不動産会社の担当に相談することをおすすめします。
【注意②】「現金主義」で信用情報がない
現金主義者でクレジットカードや車のローンなどを使わない方は審査に落ちる場合があります。年齢にもよりますが、何らかの返済履歴があることが一般的であるため、金融機関は延滞履歴と同じくチェックします。
もしまったく返済履歴がない場合には、クレジットカードやローンを使えない理由があるのでは?とマイナスにとらえられる傾向にあります。
現金主義者の方は住宅ローン組む前にクレジットカード作成し、返済履歴を作っておくとよいでしょう。何の落ち度もない人は、金融機関に自分がスーパーホワイトである理由を事前に伝えておくと審査の結果が変わるかもしれません。
住宅ローン審査の前にやるべきこと
【1. 自分の信用情報を確認】
自分の信用情報、いわゆる属性や過去のクレジットカードやローン借り入れ・返済などの取引状況などが確認できます。個人の信用情報がどのように記録されているかを確認してみることで、審査落ちとなる前に要因が判明するでしょう。
信用情報は3つの機関である株式会社日本信用情報機関(JICC)、指定信用情報機関(CIC)構、全国銀行協会(JBA)から取り寄せることができます。PCやスマホ、窓口にて取り寄せが可能です(手数料は500円~1,000円)。
【2.予算の確認】
自分がどのくらいの金額の住宅ローンを組むことができるのかを計算し、予算を設定します。これによりローン審査の際に負担がないかどうかを判断できます。
また、今年から徐々に日本の債券利回りが上昇傾向で、変動金利も今後金利上昇の可能性があります。そこも見込んで借入金額などの資金計画を立てましょう。
「審査落ち」の理由がわかったら再チャレンジ
住宅ローンの審査も金融機関によって違うため、審査が通る場合と通らない場合があります。ただし一度にたくさんの金融機関に審査に出して通らない場合には、その履歴も残ってしまいます。慎重に、2つくらいの金融機関にチャレンジされるのがよいでしょう。何かしらの問題点がわかった場合には、状況が落ち着いたら再度臨んでみてください。
水野 圭子
株式会社K’sプランニング 代表取締役
一級ファイナンシャルプランナー、マネーセミナー講師
一級ファイナンシャルプランナーとして住宅、老後、資産運用、相続と幅広いFP相談業務に15年以上携わり、「すぐに実践できるお金のノウハウ」を伝えている。
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