(※写真はイメージです/PIXTA)

多死社会の日本では、日々多くの相続が発生している。亡き人への感謝や感動がある一方で、割り切れない思いをするケースも…。ある60代の兄弟の事例をもとに、実情を見ていく。

「お兄ちゃんには面倒をかけられないから」と母が…

山田さんの兄は内向的なタイプで、新しい人間関係に飛び込むのが苦手だった。そのため、会社員が性に合わず、結婚することもなく、ずっと母親に身の回りの世話をしてもらって生活していた。

 

「母は〈お兄ちゃんは芸術家タイプだから〉といっていたましたが、それはちょっとわからないですね。結局、母親は生涯にわたって兄の世話をしました。両親の介護ですか? 兄はまったくしていませんよ」

 

山田さんの父親は10年前に脳梗塞で倒れて入院。1ヵ月後に回復の兆しのないまま亡くなった。母親は父親が亡くなる数年前からがんを患っていたが、一時は手術で回復し、これまで通りの生活を送っていた。しかしその後、次第に病状が悪化。自宅療養はせずに総合病院へ入院し、その後はホスピスへ。父親が亡くなった1年後、あと追うように亡くなった。

 

「〈お兄ちゃんには面倒をかけられないから〉というのが母の口癖でした。それに、母親はちゃんと、相続税が払えるぐらい現金を残していましたよ」

 

山田さんの両親は遺言を残していなかったが「全財産をお兄ちゃんに」と常々聞かされていた。山田さんも、自分が財産を相続するより、兄が自宅と収益物件を持っていれば生活が安定するので、それで納得した。

 

「正直な話、兄は独身ですから、その後は自分か、そうでなければ私の子どもに財産が戻ってくると思ったのですよね…」

 

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