(※写真はイメージです/PIXTA)

チーフマーケットストラテジスト・市川雅浩氏(三井住友DSアセットマネジメント株式会社)が解説します。

 

●政策金利は8会合連続据え置きへ、FOMC声明は9月の利下げ開始を示唆する内容に修正か。

●パウエル議長はインフレ鈍化などを認めつつも、9月利下げが確定的な見方までは示さないであろう。

●今会合は、おおむね市場の想定内の結果となる可能性が高く、冷静な市場の反応が見込まれる。

政策金利は8会合連続据え置きへ、FOMC声明は9月の利下げ開始を示唆する内容に修正か

米連邦準備制度理事会(FRB)は、7月30日、31日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を開催します。今回はFOMCメンバーによる経済見通しや、メンバーが適切と考える「政策金利水準の分布図(ドットチャート)」は公表されないため、FOMC声明と、記者会見でのパウエル議長の発言に市場の関心が集まっています。以下、これらについて、主な注目点を整理します。

 

まず、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は、5.25%~5.50%で8会合連続の据え置きを予想します。ただ、FOMC声明については、労働需給の緩和やインフレの鈍化という最近の動向を踏まえ、第1段落(雇用とインフレの現状判断)および第2段落(雇用とインフレのリスク判断)の文言がいくらか修正され(図表1)、実質的に次回9月のFOMCで利下げ開始を示唆する内容になる可能性が高いとみています。

 

[図表1]6月FOMC声明の第1段落と第2段落

パウエル議長はインフレ鈍化などを認めつつも、9月利下げが確定的な見方までは示さないであろう

しかしながら、直近のFF金利先物市場では9月の利下げ開始をすでに9割近く織り込んでおり、今回のFOMC声明が9月利下げを示唆する内容となった場合でも、市場への影響は限定的と考えます。そして、次の注目点は、パウエル議長の記者会見における発言です。パウエル議長も基本的には、労働需給の緩和やインフレの鈍化という足元の状況を評価すると思われます。

 

パウエル議長は前回6月FOMC後の記者会見において、「インフレ率が持続的に2%に向かっているという確信を強めるには、さらに良好なデータをみる必要がある」との見解を示しましたが、7月15日には、4-6月期のデータで「確信を強めた」と述べています。この点は、今回の記者会見での発言にも反映されるとみられますが、9月の利下げ開始が確定的であるような見方までは示されないと考えます。

今会合は、おおむね市場の想定内の結果となる可能性が高く、冷静な市場の反応が見込まれる

すでに9月利下げをほぼ織り込んでいる市場は、今回のパウエル議長の発言で、9月以降の利下げペースに関する手掛かりを探るとみられます。具体的には、最近の雇用とインフレの動きに、パウエル議長がどの程度自信を示すかを確認し、利下げペースを推測するとみています。ただ、パウエル議長の「政策判断はデータ次第」、「将来の政策はその時点まで決定しない」という基本姿勢は変わらないと思われます。

 

以上より、今回のFOMCは、①利下げ見送り、②FOMC声明で実質的に9月利下げ示唆、③パウエル発言は中立的(利下げ時期は明示せず)、といった内容が見込まれますが、これらはおおむね市場の想定内であり、冷静な反応が予想されます。次回9月FOMCまでの主なスケジュールは図表2の通りで、市場はこれらの結果を見極めながら、先行きの利下げペースの織り込みを進めていくとみられます。

 

[図表2]次回9月FOMCまでの主なスケジュール

 

 

(2024年7月30日)

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『FOMC声明は「9月の利下げ開始を示唆する内容」に修正か【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】』)。

 

市川 雅浩

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

チーフマーケットストラテジスト

 

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