起業と聞くと「特別なスキルや才能、資産がなければ成功しない」と考える人は少なくありません。しかし、日本では1日におよそ400社近くの法人が設立されるなど、起業は思っている以上に身近な存在です(東京商工リサーチ:2022年「全国新設法人動向」調査より)。会社から思うように評価されず、起業を決意した井上裕也さん(仮名)の事例をみていきましょう。経営コンサルタントの鈴木健二郎氏が解説します。
複数の「無形資産」が溶け合って生まれる“相乗効果”
今回紹介した裕也さんのケースは、社内での評価は芳しくなかったものの、一流ホテルでのコンシェルジュで培った自分なりの無形資産を活かして成功した例である。
彼の成功の鍵は、自分の強みを認識し、それを活かせる方法を見つけ出したことにある。
また、友人のアイデアと自分の強みを融合し、地元の観光スポットや文化をテーマにしたボードゲームを開発することで、楽しみながら学べる観光案内を提供し、ビジネスを成長させることができた。こうしたアイデアやそれを商品に置き換える技術もまた、立派な無形資産といえるだろう。
無形資産は、いわゆる「財産リスト」には載らないため、その存在価値に気づきにくいが、誰しもが保有する固有の資産のことをいう。裕也さんが体験したように、他者のアイデアと自分の得意分野という無形資産の融合は、時に新しい道を切り開く勇気を与えてくれることが分かるだろう。
鈴木 健二郎
株式会社テックコンシリエ
代表取締役
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株式会社テックコンシリエ 代表取締役
知財ビジネスプロデューサー
東京大学大学院情報理工学系研究科博士課程修了後、株式会社三菱総合研究所、デロイトトーマツコンサルティング合同会社を経て、2020年に株式会社テックコンシリエを設立し現職に至る。
三菱総研在職中に、株式会社三菱東京UFJ銀行(現・三菱UFJ銀行)に2年間出向。知財の価値を裏付資産とする投融資やM&Aなどの金融スキームの開発に従事し、知財が「宝の持ち腐れ」になっている多数の企業の経営再建に成功する。以降、企業が保有する技術力やアイデア、ノウハウ、ブランド、デザイン、アルゴリズムなどを掘り起こし、新規事業や研究開発に活かすための戦略立案・実行を支援するビジネスプロデューサーとして国内外で成果を上げてきた。
経済産業省や特許庁をはじめとする政府の知財政策の検討でも多数の実績を持ち、業界団体主催のカンファレンス、金融機関や事業会社内での役員・管理職向けセミナーでの講演、各種ジャーナルでの寄稿・執筆実績多数。
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