年収400万円の36歳ホテルマン、宿泊客からは好かれるも会社からの評価はイマイチ…辞職→起業を決意した「同僚のひと言」【経営コンサルタントが解説】

年収400万円の36歳ホテルマン、宿泊客からは好かれるも会社からの評価はイマイチ…辞職→起業を決意した「同僚のひと言」【経営コンサルタントが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

起業と聞くと「特別なスキルや才能、資産がなければ成功しない」と考える人は少なくありません。しかし、日本では1日におよそ400社近くの法人が設立されるなど、起業は思っている以上に身近な存在です(東京商工リサーチ:2022年「全国新設法人動向」調査より)。会社から思うように評価されず、起業を決意した井上裕也さん(仮名)の事例をみていきましょう。経営コンサルタントの鈴木健二郎氏が解説します。

まさか、こんなはずでは…裕也さんの「大誤算」

裕也さんはホテルを辞め、観光案内サービスの起業に踏み切った。しかし、最初はクライアントを獲得するのに苦労し、なかなか収入が安定しなかった。

 

観光案内の内容や料金設定についても試行錯誤を繰り返し、満足のいく結果を出せない日々が続いた。また、広告宣伝の知識が不足していたため、サービスの存在を広く知ってもらうことができなかった。

 

さらに、独立後の不安定な収入に加え、予想以上に多忙な業務スケジュールに直面し、心身ともに疲弊が溜まっていく。一部の友人からは「辞めるべきではなかったのでは?」という声も聞かれるようになり、裕也さんは自分の選択に自信を失いかけた。

高校時代の友人のアドバイスが転機に

そんな時、裕也さんは高校時代の友人である美咲さん(仮名)のアドバイスが自身の転機になったという。

 

美咲さんは現在、アマチュアのボードゲームデザイナーとして活動しており、観光業界にも興味があった。彼女は「観光案内をボードゲームにしてみたらどう?」と提案した。彼女は、地元の観光スポットや文化をテーマにしたボードゲームを作り、観光案内を楽しみながら学べる方法を考えたのだ。

 

ボードゲームのアイデアという、もう一つの「無形資産」

裕也さんはこのアイデアに興味を持ち、美咲さんと一緒にボードゲームの開発を始める。ゲームのなかでは、プレイヤーが滞在先の観光名所を訪れたり、その地域の文化や歴史に関するクイズに答えたりする。ゲームを通じて、地域の魅力を楽しく学ぶことができるように工夫した。

 

裕也さんはこのボードゲームを使った観光案内ツアーを企画し、地元の観光協会や学校とも連携してイベントを開催した。ゲームを通じて観光案内をすることで、参加者は楽しみながら地元の魅力を知ることができ、口コミで評判が広がった。

 

裕也さんの観光案内サービスは次第に注目を集めるようになり、観光客からの問い合わせが増え始め、地元観光業の企業からの相談も入ってくるようになった。彼の独自の視点で作られたボードゲームは評判となり、観光客が彼のサービスを利用するようになった。やがて、裕也さんは地元の観光イベントや文化フェスティバルにも招かれるようになってきた。

 

現在、裕也さんの観光案内サービスは成功を収めはじめ、年収も1,500万円に達し、以前のホテル勤務時代より大幅に増加している。彼は今でも新しい観光スポットや文化を発掘し、ボードゲームを通じて地元の魅力を伝え続けている。

 

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