子どものために…「離婚後の名字」はそのままか、旧姓に戻るか。子が15歳以上の場合は要注意【弁護士が解説】

子どものために…「離婚後の名字」はそのままか、旧姓に戻るか。子が15歳以上の場合は要注意【弁護士が解説】

子どもがいる夫婦が離婚をしたことで発生するのは、親権の問題だけでなく、名字をどうするかという問題もあります。旧姓に戻すのか、そのままの姓を名乗り続けるのか、子どもへの影響も考慮し、悩まれる人も少なくありません。名字を戻す、そのままでいる、それぞれの選択にはどのような影響があるのでしょうか? また、それぞれどのような手続きが必要になるのでしょうか? 本記事では、Authense法律事務所の離婚問題に精通する白谷英恵弁護士が、離婚後の名字について解説していきます。

女性は旧姓に戻すかどうか決められる

女性は旧姓に戻すかどうか決められる
[図表1]女性は旧姓に戻すかどうか決められる

 

婚姻により姓を変更した女性は、離婚をすると、旧姓に戻るか、結婚時の姓をそのまま使い続けるか、本人が選べます。その際、戸籍や姓をどうするかについては、3つの選択肢があります。

 

1.親の戸籍に戻る

離婚後、女性が旧姓に戻る場合、もとの戸籍に戻ることができます。もとの戸籍とは一般的に結婚前に入っていた親の戸籍を指します。手続きとしては、離婚届の「婚姻前の氏にもどる者の本籍」とある欄の「妻はもとの戸籍にもどる」を選び、親の本籍地を記載します。

 

2.新たな戸籍を旧姓で作る

離婚によって旧姓に戻るタイミングで、自分を筆頭者とした新たな戸籍を作ることもできます。この場合は、離婚届の「妻は新しい戸籍をつくる」を選択し、自分が希望する本籍地を記入します。

 

3.結婚時の姓で新たに戸籍を作る

離婚をすると、旧姓に戻るのが原則ですが、離婚から3ヵ月以内であれば、結婚時の姓を名乗る「婚氏続称」が可能です。しかし、この場合でも、夫の戸籍からは出る必要があります。そのため、夫の戸籍から抜けたうえで、新たに戸籍を作らなければなりません。この場合、離婚届の「婚姻前の氏にもどる者の本籍」の欄にはチェックを入れず、離婚届とは別に、「離婚の際に称していた氏を称する届」を届け出ます。

 

また、この届出は、離婚届提出後3ヵ月以内に提出する必要があります。ただし、3ヵ月以内の場合でも、一度届け出ると取り消しはできないので、注意が必要です。

子どもは基本的に父親の戸籍に入ったまま

子どもを母親の戸籍に入れるには
[図表2]子どもを母親の戸籍に入れるには

 

女性(母親)は、離婚後に旧姓を使うか、結婚時の姓を使うかが選べます。しかし、子どもの場合、夫婦が離婚したことで戸籍が変動するということはありません。子どもがいる夫婦の場合、離婚後、親権をどちらが持つかという問題がありますが、仮に母親が親権を持ったとしても、子どもは、父親の戸籍のままで、姓が変わることもありません。

 

母親の戸籍に入れて結婚時の姓を名乗る

母親が、婚氏続称を選択し、「離婚の際に称していた氏を称する届」を提出した場合、母親も結婚時と同じ姓を名乗るため、子どもと同じ姓を名乗れます。しかし、戸籍は異なるうえ、親権を自分が持っていたとしても、父親が再婚すると、子どもは再婚相手と同じ戸籍に入ります。

 

このような状況を避けるためには、子どもを母親の戸籍に入れることが必要です。

 

■家庭裁判所に「子の氏の変更許可申立書」を提出する

子どもを母親の戸籍に入れるためには、「子の氏の変更許可申立書」を家庭裁判所に提出します。その際、申立書のほか、子どもの戸籍謄本、母親の戸籍謄本、収入印紙なども必要です。裁判所のなかには、直接申立をすることで、即日許可がおりることもあります。まずは、自分の管轄の裁判所の手続きの詳細を確認しておきましょう。

 

■入籍届を提出する

家庭裁判所の許可がおりて審判書を取得したら、役所で子どもの入籍届を提出します。この際、戸籍が入っていない役所に提出する場合は、子どもの戸籍謄本、母親の戸籍謄本を準備しておきます。

 

母親の旧姓に戻す場合「子の氏の変更許可申立書」を届け出る

母親が旧姓に戻った場合、「子の氏の変更許可申立書」を届け出て、子どもの姓を変更し、母親の戸籍に子どもを入れる必要があります。ただし、母親が旧姓に戻っていたとしても、親(子どもにとって祖父母)の戸籍に入っていると、子どもを同じ戸籍に入れることはできません。この理由は、戸籍に3世代が入ることができないためです。

 

つまり、子どもと同じ戸籍に入るためには、母親は、離婚届を提出する際に、「妻は新しい戸籍をつくる」を選択しておく必要があります。

 

 

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