(※写真はイメージです/PIXTA)

人生100年時代。60歳を過ぎても働くことが「もはや普通」になりつつある昨今ですが、企業側・労働者側双方の実態を見ると、残酷な現実が露わになっています。厚生労働省『令和5年 賃金構造基本調査』などとともに解説していきます。

50代の頃「65歳以降も仕事をしたかった人たち」、実際は…

人生100年時代、定年延長についても法改正が進められていますが、企業の反応は芳しくありません。

 

厚労省『第18回 中高年者縦断調査(中高年者の生活に関する継続調査)』(令和4年)では、平成17年10月末時点で50~59歳であった全国の男女を対象として、継続的にアンケートを取っています。

 

第1回調査から17年間の就業状況の変化をみると、「正規の職員・従業員」は第1回38.6%から第18回2.6%と減少しています。「パート・アルバイト」についても、第1回16.9%から第18回14.1%と減少傾向です。

 

また第1回で「仕事をしている」者について、性別に第18回の就業状況をみると、男性で第1回当時「正規の職員・従業員」であった者は現在「仕事をしていない」の51.1%が最も高く、次いで「自営業主、家族従業者」の16.7%、「パート・アルバイト」の13.2%となっています。女性の第1回当時「パート・アルバイト」であった者は現在「仕事をしていない」の66.4%が最も高く、次いで「パート・アルバイト」の27.5%となっています。

 

第18回調査時「仕事あり」の者のうち、「68〜69歳になっても仕事をしたい」と回答したのは80.3%、「70〜74歳になっても仕事をしたい」は59.1%、「75歳以降でも仕事をしたい」は27.2%という結果でした。生きがいを求めてか、はたまた経済的な不安のためか、高齢になっても働きたいと考える方が多くなっています。

 

なお第17回調査では、第1回調査時(50〜59歳)に「65歳以降仕事をしたい」と答えた人に絞り、実際に第17回で「仕事をしている」と答えた人の割合も調査していました。その結果は男性の「66〜69歳」で66.6%、「70〜74歳」で51.7%、「75歳」で43.9%、女性の「66〜69歳」で53.8%、「70〜74歳」で39.6%、「75歳」で34.0%。

 

定年延長が進んでいるように感じられますが、元は「65歳以降も仕事をしたい」と考えていた人であっても、実際に働いている人はあまり多くはないという実態。日本に生きるサラリーマンたちの未来は、危うくグラついています。

 

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