法律制定の背景に「家庭の事情の複雑化」も…配偶者を亡くした〈妻・夫〉の生活を守る「配偶者居住権」とはなにか?【税理士が解説】

法律制定の背景に「家庭の事情の複雑化」も…配偶者を亡くした〈妻・夫〉の生活を守る「配偶者居住権」とはなにか?【税理士が解説】
(画像はイメージです/PIXTA)

近年の日本では、さまざまな家庭のあり方が想定されるようになり、それにともなって令和2年より「配偶者居住権」が制定されました。どのような権利であり、どのように活用されるのか、具体的に見ていきましょう。※本記事は、公認会計士・税理士・行政書士の深代勝美氏の著書『改訂3版 ゼロからはじめる相続 必ず知っておきたいこと100』(あさ出版)の中から一部を抜粋・再編集したものです。

配偶者居住権が利用されるケースとは?

高齢化社会の到来で、いろいろな家庭が想定されるようになり…

配偶者居住権は、相続人が配偶者と実子で相続人間での対立がない家庭においては、利用されないと考えられます。しかし、高齢化社会の到来でいろいろな家庭が想定されるようになりました。

 

利用例としては、図表3のように被相続人Aが亡くなり、相続人が配偶者Cと先妻の子Bの場合、被相続人Aが遺言で配偶者Cが居住している自宅の居住権を配偶者Cに遺贈するとすれば、配偶者Cは亡くなるまで自宅に住み続けられます。

 

一方で子どもは、配偶者が亡くなれば、配偶者居住権が消滅しますから、何の制限もない完全な所有権を取得することになります。

 

[図表3]配偶者居住権の利用例

 

遺贈での記載の注意点

遺産分割協議や、被相続人が遺言等で「配偶者が配偶者居住権を取得できるようにする」ことが必要です。

 

なお、配偶者居住権を遺言書で設定させる場合には「遺贈する」と記載します。「相続させる」と記載すると無効になります。

次ページ配偶者居住権は「節税」になる?

※本記事は、公認会計士・税理士・行政書士の深代勝美氏の著書『改訂3版 ゼロからはじめる相続 必ず知っておきたいこと100』(あさ出版)の中から一部を抜粋・再編集したものです。

改訂3版 ゼロからはじめる相続 必ず知っておきたいこと100

改訂3版 ゼロからはじめる相続 必ず知っておきたいこと100

深代 勝美 編著
深代税理士法人 著

あさ出版

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