相続税の税務調査「問題なし」はわずか15%以下…指摘される可能性の高い金融資産の例と、調査対象に選ばれやすい申告書5つのケース【税理士が助言】

相続税の税務調査「問題なし」はわずか15%以下…指摘される可能性の高い金融資産の例と、調査対象に選ばれやすい申告書5つのケース【税理士が助言】
(画像はイメージです/PIXTA)

相続税の申告・納税後に、税務調査が行われる場合があり、驚く方もいるようです。ここでは、税務調査の調査対象に選ばれやすい金融資産と、調査対象になりやすい申告書の例を見ていきます。※本記事は、公認会計士・税理士・行政書士の深代勝美氏の著書『改訂3版 ゼロからはじめる相続 必ず知っておきたいこと100』(あさ出版)の中から一部を抜粋・再編集したものです。

調査対象に選ばれやすい申告書とはどのようなものでしょうか?

銀行や証券会社に照会のうえ選ばれている

税務署は調査に来る前に、銀行や証券会社に書面などで照会し、申告漏れがないかを調査します。基本的には、そのなかで疑問や不審な点がある申告が調査対象に選ばれます。また、あまり問題がない場合でも、遺産総額が高い申告も選ばれがちです。

 

では具体的に、調査対象に選ばれやすい申告書とはどのようなものでしょうか。

 

(1)所得状況に比して財産の少ない申告書

 

通常は所得が多い人は財産を残しているはずです。一般に、金融資産は簡単に分散することができるため、所得と比較して金融資産などの財産が少ない申告書は調査対象に選定されます。所得が2000万円以上でかつ財産が3億円以上の人は「財産債務調書」を税務署に提出することになっていますが、これは所得と財産の関係を調査するために提出を義務付けられています。

 

(2)死亡直前の預金の引き出しを確認していない申告書

 

預金の引き出しについては、亡くなる前5年間ぐらいの50万円以上の金額に関しては、何に使ったのか質問されます。

 

また、土地の売却については、死亡前の売却を20年程度前までさかのぼって、その売却代金が何に使われたかを確認します。

 

これらが、隠し預金や子どもの預金になっていないかを確認していない申告書は調査対象に選定されます。

 

(3)家族名義の預金などがチェックされていない申告書

 

配偶者や子どもたちに関して、所得が少ないのに多額の預金があり、被相続人の名義預金か否かのチェックが行われていないケースがあります。それらに対する説明資料や通帳へのコメントが見受けられない申告書は調査対象に選定されます。

 

(4)多額な借入金があるのにそれに見合う財産がない申告書

 

借入金があれば、それに見合う建物や土地などの財産があるはずです。それにもかかわらず、借入金に見合う財産がない場合や、借入金額と財産額が対応しない申告書は調査対象に選定されます。

 

(5)財産評価の根拠資料がない場合や説明が不十分な申告書

 

土地の評価については、実測面積と公簿面積との比較、固定資産課税台帳、登記事項証明書などによる土地の網羅性を確認します。また、不動産について不動産鑑定士による鑑定評価方法をはじめとする特殊な評価方法を採用した場合の根拠資料などが欠かせません。

 

さらに家屋については、貸家の入居状況など、各種財産の評価にかかる根拠資料などの添付が少ない申告書は、やはり適正な評価が行われているか不明であるため、調査対象に選定されます。使ったのか質問されます。

 

 

深代 勝美
公認会計士、税理士、行政書士
深代税理士法人 理事長、(株)アンテックス代表取締役社長、経営コンサルタント

 

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※本記事は、公認会計士・税理士・行政書士の深代勝美氏の著書『改訂3版 ゼロからはじめる相続 必ず知っておきたいこと100』(あさ出版)の中から一部を抜粋・再編集したものです。

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