5つの外部環境の情報収集が不可欠に
最近では紛争や政治イベントなどの事象に対して、ある目的を持ってサイバー攻撃が行われるようになりました。
かつてのサイバー攻撃の分析は、サイバー空間上でのイベントを収集して分析することが多かったのですが、現在ではそれだけを捉えていても本質が見えにくくなってきたため、より的確に捉えるために、サイバー脅威の周辺に関する情報の収集・分析が不可欠になっています。
代表的な外部環境の分析対象としては、英単語の頭文字を取って「PESTEL」と呼ばれている政治(Politics)、経済(Economy)、社会(Society)、技術(Technology)、環境(Environment)、法律(Law)があります。
また、事業環境の分析では、経営視点で事業に及ぼす影響を測る必要があるため、3C分析、SWOT分析なども用いられます。「事業を守り、継続していく」という観点では、外部環境と事業環境を併せて分析していくのが最近の傾向になっています。
脅威インテリジェンス活用における課題
脅威インテリジェンスはいろいろな用途で活用が広まってきています。その結果、情報と要件の間にギャップがあることがわかってきました。
いろいろと導入してきたものの、「使えない」というような声も出てきています。これは恐らく情報が使えないのではなく、要件との間にギャップがあるのだと思われます。この課題をどう解決していくのかについては、現在さまざまな検討がなされているところです。
方向性として、まずは要件を明らかにする必要があります。それは、「どの情報が欲しいのか?」「どの情報が欠けているのか?」といったものであり、たとえば、「今、何が起っているのか?」「今後、どうなるのか?」「今、何をすべきなのか?」を知りたいはずです。
この要件を決められていない、あるいは明らかにできていない状況が散見されます。要件が不明瞭なままでは、うまくいかないものです。情報を収集するに当たって「何のために使いたいのか?」を明らかにすることが、脅威インテリジェンスを活用するためのポイントだと考えられます。
淵上 真一
日本電気株式会社(NEC)
Corporate Executive CISO兼サイバーセキュリティ戦略統括部長
NECセキュリティ取締役
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