生成AIは大量のデータを読み込んでAI自身が知識を獲得する「機械学習」によって、画像、テキスト、動画、音声を生み出すことができます。うまく活用すれば事業を飛躍的に促進する可能性をもつ一方、セキュリティリスクが懸念されています。サイバーセキュリティの第一人者である淵上 真一氏が、生成AIの活用で懸念されるセキュリティリスクについて解説します。
第三次AIブーム(機械学習)が到来
AI(人工知能)のこれまでの歴史をたどると、1950年代~1960年代の第一次AIブーム(推論と探索)、1970年代~1990年代の第二次AIブーム(知識表現)を経て、2000年代から現在までの動向は第三次AIブーム(機械学習)と位置づけられています。
過去2度のブームでは、AIの適用可能な領域が狭かったり、人間が手間暇をかけてお膳立てしなければならなかったりといった欠点が目立ち、冬の時代へ沈んでいきました。
一方で、第三次AIブームで用いられている技術は、それまでのAIとは明らかに異なる性質を有しており、大量のデータを読み込んでAI自身が知識を獲得する「機械学習」によって、世間に大きなインパクトを与えています。
画像やテキストなどの生成が可能なことから「生成AI(GenerativeAI)」と呼ばれて、過去のAIと区別されています(図表1)。
「ChatGPT」の登場でいよいよ市民生活での活躍が期待されるAI
昨今のAIは「第三次AIブーム」と一括りにされていますが、その中身を見てみると、さまざまな進化を重ねて現在に至っています。2006年ごろに提唱された「深層学習(DeepLearning)」に端を発し、いくつものアルゴリズムが登場しました。
近年で特筆すべきはLargeLanguageModel(LLM/大規模言語モデル)の登場で、これを使用する「ChatGPT」のようなアプリケーションを通して、市民生活の中にも展開されはじめています(図表2)。
ビジネスにおいてテキスト、プログラムコード、画像、動画、音声といったアウトプットが可能な生成AIは、「作業の効率化・作業時間の短縮」「新たなアイデアの創出」「技術のハードルの低下」「複雑な繰り返し作業の自動化」などの価値をもたらします。
うまく活用することで図表3にまとめたような用途での効果を期待できます。
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日本電気株式会社(NEC)Corporate Executive CISO兼サイバーセキュリティ戦略統括部長
NECセキュリティ取締役(※2024年4月着任)
ベンチャー系SIerにて、プログラマ、ネットワークエンジニアを経た後、学校法人にて教鞭を執る傍ら、組織のセキュリティコントロールを手がける。
また、司法・防衛関連のセキュリティトレーニングに携わる。NECではサイバーセキュリティ全社統括を担当し、NECセキュリティの取締役に着任。
CISSP認定機関ISC2の認定主任講師として人材育成活動も務めており、2016年には、ISC2よりアジアパシフィック地域でセキュリティの発展に貢献した一人として、ISLA Senior Information Security Professionalを受賞。情報処理安全確保支援士集合講習認定講師、HardeningProject実行委員、北海道大学情報基盤センター客員研究員、一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)評議員、一般社団法人サイバー安全保障人材基盤協会(CSTIA)理事。著書に『イラスト図解でよくわかるネットワーク&TCP/IPの基礎知識』(技術評論社、2018)がある。
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