●民主党は、バイデン氏撤退の臆測を打ち消すため、今月中にも同氏を大統領候補に正式指名か。
●接戦が予想される6州のうち、バイデン氏がペンシルベニア、ウィスコンシン、ミシガンで勝つかが焦点。
●いずれの候補が勝利しても、議会選挙の結果で政治が大きく変わりうるため、議会選挙も要注目。
民主党は、バイデン氏撤退の臆測を打ち消すため、今月中にも同氏を大統領候補に正式指名か
米国では6月27日、大統領選挙に向けたバイデン大統領とトランプ前大統領による第1回のテレビ討論会が南部ジョージア州アトランタで行われ、互いに90分間批判し合う展開となりました。ただ、バイデン氏は序盤から声がかすれ、途中で言葉を詰まらせる場面が何度もあり、米メディアからは健康状態を不安視する厳しい論調が広がりました。直近の各種世論調査の平均でも、バイデン氏の支持率の低下が目立ちます(図表1)。
テレビ討論会後、民主党内ではバイデン氏に撤退を求める声も出ていますが、バイデン氏は撤退を強く否定しています。なお、共和党は7月15日から18日の全国大会で、民主党は8月19日から22日の全国大会で、それぞれ正式に大統領候補を決定します。ただ、一部報道によると、民主党はバイデン氏撤退の臆測を打ち消すため、早ければ7月21日にもバイデン氏を正式に大統領候補として指名する可能性があるとのことです。
接戦が予想される6州のうち、バイデン氏がペンシルベニア、ウィスコンシン、ミシガンで勝つかが焦点
民主党候補はバイデン氏、共和党候補はトランプ氏と仮定した場合、現状はトランプ氏が優勢で、バイデン氏は形勢逆転のために敵失を待つほかない状況にあると思われます。大統領選挙の勝敗を大きく左右するとみられるのは、オハイオ州、ペンシルベニア州、ウィスコンシン州、ミシガン州、ノースカロライナ州、フロリダ州、ジョージア州、アリゾナ州、ネバダ州の9州です。
このうち、接戦が予想されるのはペンシルベニア州、ウィスコンシン州、ミシガン州と、ジョージア州、アリゾナ州、ネバダ州の6州です。後者の3州はトランプ氏の優位が鮮明になりつつあるため、今後は前者の3州の動向に注目が集まります。バイデン氏が、この3州のうち、1つでも支持を落とした場合、再選が非常に困難になると思われますが、直近ではペンシルベニア州で支持率低下の動きがみられます。
いずれの候補が勝利しても、議会選挙の結果で政治が大きく変わりうるため、議会選挙も要注目
なお、米国の政治を見通す上では、大統領選挙だけでなく、連邦議会選挙の結果も非常に重要です。上院(定数100議席)は現在、民主党が51議席、共和党が49議席で(図表2)、今回は3分の1の改選と補選1議席の合計34議席を争うことになります。このうち民主党の現有議席は23で、共和の11を上回ることから、民主党は不利な状況にあり、共和党が過半数を奪回する可能性が高いとみられます。
下院(定数435議席)は全議席改選となり、接戦の見通しですが、やや共和党優勢の模様です。そのため、バイデン氏が勝利しても、上下両院で共和党が過半数の議席を占めれば、政治的な影響力は大きく低下することになります。一方、トランプ氏が勝利し、かつ上下両院とも共和党が過半数の議席を占めれば、予算を使って政策を遂行できるため、減税などを前面に打ち出した場合、金融市場はリスクオン(選好)で反応することも予想されます。
(2024年7月11日)
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『【大統領選】米民主党、今月中にもバイデン氏を正式指名か 「ほぼトラ」でも議会選挙に要注目【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】)。
市川 雅浩
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
チーフマーケットストラテジスト
注目のセミナー情報
【事業投資】1月13日(火)開催
トップ経営者が実践する節税方法を公開!
「即時償却による節税」×「想定利回り9.6%以上」×「手間なし」
無人運営コワーキングスペース「マイクロFCオーナー制度」の全貌
【国内不動産】1月17日(土)開催
建築会社だから実現する安定利回り6%・短期売却で30%超のリターン
東京23区で始める「土地から新築RC一棟投資」実践法
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

