「もう50代だから…」という弱点をアピールポイントに変換
会社の倒産、リストラ、早期退職制度などにより、人生の後半になって、退職を余儀なくされた方もいらっしゃることでしょう。現在の年齢から、新しい会社、新しい文化、新しい仕事、新しい人間関係を築くのはなかなか容易なことではありません。
このように人生の後半で転職せざるを得ないとき、面接においてどのようにアピールすればよいのでしょうか。
面接の場では、面接官が自分より年下というケースがほとんどでしょう。そんな年下の面接官が不安に思うことはどんなことでしょうか。偉そうでなく親しみやすい人柄であること、これまで身につけたスキルや経験、専門性をわかりやすく伝えられる人を目指しましょう。
面接官の質問:「わが社の平均年齢より高いですね」
■NG回答の例
「【❶そんなことはないと思います】。【❷この仕事に年齢は関係ない】のではないでしょうか。私はこれまで30年近くこの道一筋でやってきましたから、【❸まだまだ若い者には負けません】。これまで【❹若者の指導もしてきましたので、御社に入りましてもできる】と思います。」
× ❶⇒面接官の意見の否定から入っている
× ❷⇒なんの根拠もなく年齢は関係ないと言っている
× ❸⇒勝ち負けの問題ではない
× ❹⇒指導係を募集しているわけではない。それを決めるのは面接官であることを忘れている
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<採用に近づくヒント>
自分の年齢は周囲からどのように見られているのか、客観的に知る必要があります。年齢を重ねるほど、謙虚な姿勢でなければ、面倒くさいヤツと思われてしまいます。
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■OK回答の例(1)
「おっしゃるようにそう【①若くはありません】。ですがこれまでの【②経験やスキル、人脈があります】。御社の商品をHPで拝見し、これからの【③時代を担っていく商品だと感銘を受けました】。【④若い人に教えていただきながら】、共に次世代の商品作りに関わっていきたいと願っております。」
◎ ①⇒面接官の言葉を受け入れている
◎ ②⇒さりげなく自己PRができている
◎ ③⇒企業研究ができている
◎ ④⇒若い人たちと協力するといった謙虚な姿勢が伝わる
■OK回答の例(2)
「そうですね。御社で働いておられる皆さまからすると【①高いと、私も思います】。だからこそ、これまで培ってきた【②ビジネスマナーについてもアドバイスができる】のではと思います。また、【③御社の現在の客層は30代中心】ですが、市場の拡大を考えますと【④50代向けの商品開発】にも、私の年齢ならお役に立てると思いました。」
◎ ①⇒面接官の言葉を受け入れている
◎ ②⇒その年齢だからこその売りを伝えられている
◎ ③⇒企業研究ができている
◎ ④⇒将来に向けたビジョンと自身の貢献度を伝えられている
面接官:「若い社員があなたの上司になりますが、気になりますか」
■NG回答の例
「いいえ、私は気になりません。これまでも【❶私より年齢が若い人とともに仕事をしてきました】。最近の若い人は腰が低いですから、このような【❷おじさんにも気軽に質問をしてくれます】。御社に入りましても、【❸きっとうまくいくと思います】。」
× ❶⇒「年下の上司」というところが面接官の気になる点であって、「若い人と仕事してきた」は誰もがそうであるため理由にならない。
× ❷⇒ユーモアを入れたつもりだが、一般的に若い人は目上の人を立てる。そのことを理解していない。
× ❸⇒根拠がない
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<採用に近づくヒント>
年齢は社内の人間関係に影響があることを自覚し、どのように周囲の人と関われるかをアピールしましょう。「年齢が上だから」「経験があるから」といった意識ではなく、共に支え合う姿勢が好まれます。
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■OK回答の例(1)
「【①御社の平均年齢を拝見】して、その可能性があると思いました。私には大学生の息子がおります。【②息子たちのような若い人の意見は大変刺激があり、勉強になります】。これからの日本はそういった若い人たちが作り上げていくわけですので、【③私ができることといったらしっかりとついて行くことです】。【④上司役はときに孤独で辛いこともあると思います】。そんなときは、上司部下の垣根を越えて、【⑤互いに支え合える関係】になりたいと思っております。」
◎ ①⇒企業分析ができており、事情を把握できている。
◎ ②⇒具体的な根拠が言えている。
◎ ③⇒ユーモアの描写もスマート
◎ ④⇒上司という役割の大変さを理解しているという発言
◎ ⑤⇒人間として支え合いたいという姿勢を伝えられている
■OK回答の例(2)
「【①そのように理解しております】。むしろ若い上司の元で働けることを今から楽しみにしております。実は、毎週日曜日に地域の【②ランニンググラブに入って】みんなで走っているんです。【③そこのリーダーは30代の女性でして】、モチベーションをアップさせる声掛けが上手なんです。【④私もいつも励まされますし、学ぶことが多いと感じます】。とはいえ、上司になんでも任せるのではなく、【⑤私自身もどうすればチーム全体で仕事がはかどるかを考える】所存です。」
◎ ①⇒シンプルに理解していると伝えられている
◎ ②⇒健康増進へのアピールができている
◎ ③⇒身近にそういった人がおり、慣れていることが伝えられている
◎ ④⇒その経験から良い関係性が具体的に伝わってくる
◎ ⑤⇒自身の関わり方について主体的に述べられている
中園 久美子
キャリアコンサルタント・講師、キャリアクレッシェンド代表
経理専門学校卒業後、大手通信社勤務を経てパソコン講師として活動。子育てや夫の転勤に伴い、何度も転職を余儀なくされる。現在はキャリアコンサルタントとして多くの面接指導を行っている。
著書に『それでも書類選考で落とされない履歴書・職務経歴書の書き方』(日本実業出版社)、『【完全攻略】オンライン・WEB面接「リアルじゃない」を武器にする内定獲得ノウハウ86』(ダイヤモンド社)がある。
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