通常、「転職回数の多さ」は応募者の弱点になるが…
転職回数が多いと、面接官は「採用してもすぐに辞めてしまうのではないか」と不安になります。そのため、転職理由や前職での状況について根掘り葉掘り質問するのです。
あなたは、転職を何度もしたかったわけではなく、きっと定年まで勤めたかったはずです。どうしても続けられない理由があったのでしょう。しかし、たとえどのような理由があったとしても、面接の場で前職の悪口や苦し紛れの言い訳をしてはいけません。ましてや、転職回数をごまかしてはいけません。
これまで、さまざまな職場で培ってきた適応力と経験の豊富さをアピールしましょう。
面接官の質問:「転職回数が多いのはなぜですか」
■NG回答の例
「はい、これまで【❶何十社も応募してやっと】入ったのが最初の会社でした。しかし、想像していた【❷業務を与えられず期待されていない】と思い退職しました。その後も、何度か転職をしましたが、【❸私の能力を発揮できる職場】には巡り合いませんでした。このたび、御社の求人を拝見し、【❹今度こそ私の能力を発揮できるのではないか】と思い応募いたしました。」
× ❶⇒過去のことを正直に話してもマイナスの印象しか伝わらない
× ❷⇒仕事に対して主体的でない。勝手な思い込み
× ❸⇒能力がなにかわからない
× ❹⇒漠然としており自己中心的な印象
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<採用に近づくヒント>
前職の悪口は言わず、謙虚な姿勢を伝えましょう。これからは転職をしないという論理的根拠と意気込みを伝えましょう。
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■OK回答の例(1)
「大学卒業後、一貫して営業の仕事をしてきました。これまでどちらかというと、【①自分にとっての仕事のやりがいを大切にしてきたこと】で転職を繰り返しました。昨年、結婚もいたしましたので、今後は【②家族のためにも頑張りたい】と思っております。これまで【③さまざまな業界で身につけてきた多様な営業経験を十分に活かせる仕事】に就きたいと、御社を希望いたしました。」
◎ ①⇒何を大事にしているから転職をしたのか端的に表せている
◎ ②⇒転職を繰り返さない覚悟が表れている
◎ ③⇒活かせる経験についてアピールできている
■OK回答の例(2)
「これまで、【①夫の転勤に伴い】、私自身退職を余儀なくされました。現在は子供も大きくなりましたので、今後、夫の転勤がある際は、夫は単身赴任と【②家族間で決めています】。これまで、さまざまな企業で事務業務を経験してまいりました。そのため、御社に入っても【③柔軟に対応できる】と思います。【④RPA作業】も経験がありますのでお任せください。」
◎ ①⇒転職はやむを得ない事情と伝えられている
◎ ②⇒面接官の不安を払拭する言い方ができている
◎ ③⇒転職の経験をプラスに伝えられている
◎ ④⇒新たなスキルをアピールできている
面接官:「転職のたびに違う職種なのはどうしてですか」
■NG回答の例
「これまで何度も転職をしましたが、そのたびに【❶新たな仕事に興味が湧いた】からです。【❷チャレンジ精神は誰にも負けません】。今回応募した仕事は【❸天職】と思って頑張りますのでよろしくお願いいたします。」
× ❶⇒そのままを言っているため、理由になっていない。なぜ興味が湧いたのかそこまで言えるとgood
× ❷⇒すぐ辞めてしまうと思われるので、この場で使うワードではない
× ❸⇒やってもいないのに天職と言わない
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<採用に近づくヒント>
方向性の違う仕事の経験は、面接官から見ると一貫性がないと思われます。あなたなりに一貫性があると言い切りましょう。また、これらの経験は次の仕事に役に立つという根拠をアピールしましょう。
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■OK回答の例(1)
「確かに、経理事務からお店の販売員、生命保険の営業と【①一貫性がない】と見えるかもしれません。ただ、今回の仕事は、そういった【②個々の業務を理解できる人がこなせる仕事】であると考えます。これらの経験があるからこそ、なぜ【③売り上げが上がらないのかに焦点をあて、コスト削減と顧客満足度を意識した対応ができる】と思いました。」
◎ ①⇒面接官の意見を受け入れている
◎ ②⇒業務内容の本質を捉えた発言ができている
◎ ③⇒さまざまな経験はどのように活かせるのか具体的な言葉で語れている
■OK回答の例(2)
「確かに業種という視点で見れば、【①一見関連のない企業で働いていたように見える】かもしれません。当初、経理業務をしておりましたが、そのうち【②経営にも興味を持つ】ようになり、ベンチャー企業の企画に移りました。新たな商品を生み出す力はどこからくるのか、今度はそういったことに【②興味を持ち】、そのような企業を支援するコンサルティング会社に興味を持ったという次第です。【③私は仕事とそこに働く人々がいかに楽しく仕事をするのかに興味があります】。この【④探求心は私の強み】と自負しており、御社にも貢献できると考えております。」
◎ ①⇒面接官の意見を受け入れている
◎ ②(2ヵ所)⇒転職の理由を前向きに語っている
◎ ③⇒自分の中にあるブレないポリシーを語っている
◎ ④⇒自分の強みとしてアピールできている
中園 久美子
キャリアコンサルタント・講師、キャリアクレッシェンド代表
経理専門学校卒業後、大手通信社勤務を経てパソコン講師として活動。子育てや夫の転勤に伴い、何度も転職を余儀なくされる。現在はキャリアコンサルタントとして多くの面接指導を行っている。
著書に『それでも書類選考で落とされない履歴書・職務経歴書の書き方』(日本実業出版社)、『【完全攻略】オンライン・WEB面接「リアルじゃない」を武器にする内定獲得ノウハウ86』(ダイヤモンド社)がある。
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