●日経平均は4-6月期に約786円下げたがプラス寄与額上位3銘柄で約700円押し上げた計算。
●マイナス寄与額1位の銘柄だけで約645円押し下げ、上位5銘柄では、約1,396円の押し下げに。
●これら銘柄の多くは、日経平均への影響が大きい値がさ株で、今後の日経平均持ち直しのカギに。
日経平均は4-6月期に約786円下げたがプラス寄与額上位3銘柄で約700円押し上げた計算
日経平均株価は2024年1-3月期に20.6%上昇したものの、4-6月期には1.9%の下落となり、株高の勢いは一服しました。そこで今回のレポートは、日経平均を構成する225銘柄の値動きに注目し、4-6月期に日経平均を押し上げた銘柄と押し下げた銘柄を検証します。具体的には、4-6月期における日経平均の下げ幅786円36銭について、銘柄別に寄与額を計算します。
はじめに、日経平均の変動幅に対し、プラスに寄与した銘柄からみていきます。プラスの寄与額の大きい上位10銘柄は図表1の通りですが、第1位のソフトバンクグループ(寄与額280円10銭)と第2位のTDK(同233円81銭)、そして第3位のリクルートホールディングス(同186円34銭)の3銘柄だけで、4-6月期の日経平均を700円24銭(3銘柄のプラス寄与額合計)押し上げたことになります。
マイナス寄与額1位の銘柄だけで約645円押し下げ、上位5銘柄では、約1,396円の押し下げに
このように、プラス寄与額上位3銘柄によって、4-6月期の日経平均は約700円押し上げられましたが、実際は前述の通り、約786円下落していることから、他の銘柄のマイナス寄与額がかなり大きかったと推測されます。そこで次に、日経平均の変動幅に対し、マイナスに寄与した銘柄を確認してみると、マイナス寄与額の大きい上位10銘柄は図表1の通りでした。
第1位のファーストリテイリングの寄与額は、マイナス645円32銭ですので、これだけでプラス寄与額上位3銘柄の押し上げ効果(プラス700円24銭)が、ほぼ相殺されてしまったことが分かります。さらに、マイナス寄与額上位5銘柄の寄与額を合計すると、マイナス1,396円46銭となり、ここからプラス寄与額上位3銘柄の押し上げ効果を差し引けば、マイナス696円22銭と、4-6月期の日経平均の下げ幅786円36銭に近づきます。
これら銘柄の多くは、日経平均への影響が大きい値がさ株で、今後の日経平均持ち直しのカギに
このように、4-6月期の日経平均の動きは、プラス寄与額上位3銘柄とマイナス寄与額上位5銘柄で、大方説明が可能と思われます。これらの銘柄の多くは、いずれも1単元(売買単位)あたりの株価が高い、いわゆる「値がさ株」ですが(図表2)、日経平均は、構成銘柄の平均値によって算出(厳密には構成銘柄の株価を株価換算係数で調整した上で合計し、除数で割って算出)されるため、値がさ株の影響を大きく受ける傾向があります。
当然ながら、7-9月期以降、プラス寄与額上位銘柄のプラス寄与が続くとは限らず、同様に、マイナス寄与額上位のマイナス寄与が続くとも限りません。しかしながら、この先、値がさ株のマイナス寄与の度合いがいくらか低下していけば、7-9月期に日経平均が持ち直す余地はかなり拡大すると思われ、図表2で示される日経平均を構成する値がさ株の動向が注目されます。
(2024年7月1日)
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『【株価「持ち直し」のカギ】24年4-6月期に「日経平均を押し上げた銘柄」と「押し下げた銘柄」【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】)。
市川 雅浩
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
チーフマーケットストラテジスト
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