本質的に投資する価値のある物件とは
さて、不動産を通じて社会に貢献しつつ、そのリターンとして利益を得ていく、という本質に基づいた不動産投資を実現していくには、本質的に価値のある物件に投資していく必要があります。
私たちは、その1つが「中古・郊外・RCの一棟マンション」だと考えています。
不動産投資により広く社会貢献するという目的にとって、なぜ「中古・郊外・RC」が適しているのでしょうか。バブル期に建てられた、環八と国道16号に囲まれたエリアにあるRCマンションが、社会貢献の手段としてふさわしいと考える理由はどこにあるのでしょうか。
最初に挙げられるのが、物件の品質です。バブル期に建てられたマンションは一般に、構造や外構、共用部、デザインなど多くの点で品質が高く、適切に管理し続けることで「100年住める」と言って差し支えありません。
2つ目の価値とは高い賃貸需要です。環八と国道16号に囲まれたエリアには、今もこれからも根強い賃貸需要を見込むことができます。
しかも、コロナ禍が高い需要にさらに拍車をかけました。リモートワークに切り替えるビジネスパーソンが増えたことで、都心への距離があまり問題にならなくなったわけです。毎日出勤する必要がなければ、都心から離れていても、駅近でなくても大きな不便はありません。そこで改めて、「環八×国道16号」エリアが注目を浴びるようになりました。
私たちが管理する物件の平均入居率は、2023年1月~12月のデータでは約98%となっています。購入時より利回りが上がった物件も多く、家賃上昇率の平均は約2%です。
2%という数字はそれほど大きくないように感じられるかもしれませんが、単純に考えると、住人が同じ賃料のまま住み続けている部屋が8割の場合、新たな住人が入居した2割の部屋の賃料は10%もアップしている計算になります。これは、かなりの家賃上昇率だと評価できるのではないでしょうか。
時代背景的に見ても、これまでの30年間、賃貸マンションに住む中低所得者の給料は景気の上下にかかわらず、これ以上は下がりようがないほどの下限状態が続いてきました。家賃は給料の水準に比例するため、この30年間、家賃相場も停滞したままでした。しかし、今後は中低所得者の給料アップが見込まれ、賃料も上向き傾向になる見込みです。
中古物件といえば家賃は下がる一方だと思われがちですが、日本全体としてこのような傾向が見られることを加味すると、もともと需要の高い「環八×国道16号」エリアでは、これまで以上の家賃設定でも十分に需要があると考えることができます。
3つ目の価値は、融資条件が悪いという「メリット」です。これは新富裕層の方にはぜひともご理解いただきたい点なのですが、金融機関が示す、いわゆる「47年縛り」の問題と深く結びついています。
金融機関は、「鉄筋コンクリート造の建物は法定耐用年数の47年間で減価償却される」との考え方に基づき、融資の額に対する返済期間の限度を、「47年に対する残存期間」を基準に定めています。つまり、新築物件であれば返済期間は最大47年。築30年の物件の場合であれば、残り17年間で全額を返済しなければならないというわけです。
これは国が指導しているわけではなく、あくまでも金融機関が定めた基準です。返済期間が長ければ月々の返済額は少額で済むため、家賃収入による返済が可能です。
しかし、返済期間が短い場合には、仮に家賃収入がきちんと入ってきたとしても、毎月の返済額には追いつきません。不足分はオーナーが持ち出す以外に方法はなく、当然ながらキャッシュフローは悪化することになります。万が一、オーナー側がそれでよくても、金融機関は返済原資としてリスクありと評価します。ここから「築古物件は融資を受けにくい」という業界の常識が生み出されたとも言えます。
しかし、状況は少しずつ変わってきています。一部の金融機関が法定耐用年数ではなく「経済耐用年数」という考え方を採用し始め、融資先に与信力がある場合は「47年縛り」にとらわれないケースが出てきています。
こうした変化は今後さらに加速するだろうと、私自身は予想しています。そうなれば、十分な与信力を持つ新富裕層にとっては明らかにアドバンテージであると言えます。
杉山 浩一
株式会社プラン・ドゥ 代表取締役