大相場以外ではこまめに利益確定すればいい?
このようなお話をすると、次のように考える人もいるかもしれません。「今は到底、大相場など来ないだろうから、株価が少し上昇したらしっかり利益確定で売っておくべき。大相場が到来したら売らずに持ち続ければよい」と。
確かに、これができれば誰も苦労しません。でも、大相場というものは、あとになって振り返ってみて、「あの時は大相場だったね」と気づくものなのです。大相場の最中、特に大相場の入口の時点では、大相場かどうかはまず分かりません。
実際、2012年11月中旬から2013年5月頃までのアベノミクスの大相場の恩恵にあずかれた個人投資家は多くありませんでした。多くの人は、株価が少し上昇したところで売ってしまい、その後、買い戻す機会もなく、さらなる株価上昇を指をくわえて眺めているだけだったのです。
大相場が到来する前は、確かに株価が大きく伸びることがなかったので、しっかりとこまめに売却して利益確定しておくのがセオリーでした。でも、そうした投資手法を取っていた個人投資家は、大相場が来ても、いつも通り少しの利益で売ってしまったのです。
実際、当時の専門家・評論家のコメントも、上昇スタート時の日経平均株価が9000円弱だったにもかかわらず、「日経平均株価が1万円を超える水準は明らかに買われ過ぎで近々下落に転じる」という内容のものが多かったと記憶しています。
次の「本番」ではベストパフォーマンスを発揮しよう
大相場は大きな利益を得ることができる絶好の機会ですが、そんなに頻繁に来るものではありません。コロナショックによる急落後の2020年4月~10月頃、2012年末~2013年前半、その前は2005年にまでさかのぼります。
逆に、この機会を逃してしまうと、他の期間は利益をそれほど上げることができない期間ですから、おのずと株式投資の成績は低迷してしまいます。事前の練習なしに、大相場で大きな利益を上げることはほぼ不可能だと筆者は考えています。「何となく買い、何となく売る」を繰り返しているようでは、せっかくの機会を逃してしまいます。
だから、売買のルールを決め、それを守ることができるよう、日々の取引で練習しておくことが必要です。いつものルーティンワークを淡々とこなす、その結果「いつの間にか大相場に自然と乗れている」。これが理想形です。次の大相場という「本番」で成果を発揮するため、今から売買のルールをしっかりと確立し、それを実行できるように練習しておきましょう。