上昇相場に乗り遅れないためにはどうすればよいか?
上昇相場の初期段階で上昇相場であることを察知し、安値で買っておくことができれば、悩む必要もなくなるわけです。そのためにはどうすればよいか、筆者なりの方法をご紹介します。
上昇相場入りしたとなれば、どこかに何らかのサインが見つかるはずです。日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)といった株価指数に底入れの兆しが見えたり、騰落レシオが底打ち・反転となったりします。また、小型グロース株が本格的に上昇するような上昇相場であれば、東証グロース市場250指数などが底入れします。こうした「上昇の兆し」を見つけるために、まずは定期的に、最低でも週1回は株価指数の株価チャートや騰落レシオをチェックしておく必要があります。
●騰落レシオ 株式市場に上場する株の中で、ある期間中に値上がりした銘柄数を値下がりした銘柄数で割ったものです。通常は過去、25日間で上昇した銘柄数の累計を下落した銘柄数の累計で割って、%表示した「25日騰落レシオ」がよく使われます。
●日本の株式市場の種類 日本の株式市場には、規模が大きい大企業が上場する東証プライム市場、それに次ぐ規模の企業が上場する東証スタンダード市場の他、まだ規模が小さいものの成長が期待できる東証グロース市場があります(その他に札幌、名古屋、福岡にも証券取引所はあります)。
次に上昇相場の「テーマ」を見つけ出す
次に、その上昇相場での「テーマ」をいち早く見つけ出すことが重要です。一口に上昇相場といってもいろいろあります。2005年や2013年前半のように、ほぼ全ての銘柄が大きく上昇する全面高相場もあれば、2000年前後のITバブル相場のように、一部のネット関連銘柄だけが大きく買われる半面、内需系中低位株をはじめ安値を更新し続ける銘柄も多く出現する、といった跛行色の強い上昇相場もあります。
株価の金額が高い値がさハイテク株が大きく上昇する上昇相場もありますし、中低位株が軒並み何倍にも跳ね上がる上昇相場もあります。特に全面高相場以外の上昇相場では、テーマに合致した銘柄へ投資しないと、一向に利益を上げることができなくなってしまいます。
上昇相場のテーマは、他の銘柄に先行して上昇している銘柄の共通点から導き出すことができます。したがって、どんな銘柄が上昇しているのかをいち早く察知するために、まず上場銘柄を、業種・市場などが偏らないよう100銘柄ほどピックアップしておきます。それらの銘柄を、同じような値動きをしやすい、いくつかのグループにまとめ、株価の動きを定期的に観察しておくのです。
株価が上昇しているグループを探し出す
グルーピングの方法は、業種、上場している市場、過去の株価の動きや高値・安値をつけた時期などをもとに行います。筆者であれば「成長株」「値がさハイテク株」「銀行株を含めた内需大型株」「中低位株」といった具合です。そのうえで、ピックアップした銘柄のうち明確に上昇しているようなものがあれば、他の銘柄の株価もチェックして、全体的に上昇を始めているグループがあるかどうか確認します。
そして、そのグループ内でまだ本格的な上昇に至らず出遅れている銘柄を探し、新規買い候補としていきます。必要に応じて、上記でピックアップしている銘柄以外にも、同じグループに分類される出遅れ銘柄がないかどうかチェックします。
なお、ここでの「出遅れ」というのは、あくまでも上昇相場初期段階での出遅れであり、上昇相場がかなり進展したあとの出遅れ銘柄(出遅れている何らかの理由、マイナス要因が隠れている可能性が高い)とは意味合いが異なることを申し添えておきます。
また、日々の値上がり率や売買代金ランキングの上位銘柄や、新高値更新銘柄のチェックも有効です。本格的な上昇相場となる前に、先行して大きく値上がりする銘柄がいくつかあるものです。これらの銘柄の共通点を分析すると、その後、到来する上昇相場の特徴やテーマを予測するうえでのヒントとなります。
●値上がり率や売買代金ランキング その日、株価の上昇率が高かった銘柄をランキング形式で並べたものが「値上がり率」ランキングで、ネット証券の情報ページや大手ポータルサイトの株式関連情報欄で見ることができます。
また、その日、たくさんの投資家が売買した銘柄を売買代金の総額順に並べたのが「売買代金ランキング」です。売買代金でなく、どれぐらいの株数が取引されたかを多い順に並べた「出来高ランキング」もあります。ともに、市場で多くの投資家が注目し、人気化した銘柄を探すのに便利です。
●新高値更新銘柄 「新高値」とは過去のその銘柄がつけた高値を超える新たな高値のことです。その銘柄が株式市場に上場して以来の高値を超えてつけた価格は「上場来高値」、その年の高値を超えた価格は「年初来高値」、昨年までの高値を抜いた価格の場合は「昨年来高値」といいます。