画像:PIXTA

「相続税対策の基本を知りたい」「裏ワザ的なことも知りたい」「何より、円満に相続を終わらせたい」──こうした希望を持ちながらも、巷に溢れる相続税対策情報に惑わされ、何が正しいのか疑心暗鬼になっている方は多いでしょう。相続専門の税理士であり、庶民的な家庭から100億円を超える資産家まで、多くの相続事例を担当してきた大田貴広氏の著書『相続のお金の残し方「裏」教科書 専門税理士が限界ギリギリまで教える“99%節税できて100%モメない”方法』(KADOKAWA)より、一部を抜粋して紹介する本連載。大田氏が、円満に相続を終わらせることを前提とした、効果的な相続税対策について解説します。

③早期の生前贈与

残したい方へ早いうちから贈与を行うことで、遺留分対策となります。なぜなら遺留分の対象となる生前贈与は年数が限られているからです。

 

遺留分は、亡くなった際に持っていた財産を基準に計算しますが、生前贈与も元々は財産の一部であることから遺留分の対象となります。ただし生前贈与のうち遺留分の対象となるのは、相続人は相続開始前年、相続人以外は相続開始前1年以内の贈与だけで済むのです。よって残したい方へは一刻も早く生前贈与を始めておくと遺留分対策になります。

 

また相続人であっても遺留分の対象となる生前贈与の期間を縮める裏技があります。それは、「相続放棄」です。親が亡くなってから3ヵ月以内に相続放棄をすれば、その方は相続人ではなくなりますので、遺留分の対象となる期間を相続開始前1年だけにすることができます。

 

ただし、これらの贈与は対象期間外のものであっても、他の相続人に損害を与えることを知って行っていたと認定された場合には、遺留分の対象となるリスクはありますのでご注意ください。

他の方法もあるにはあるが…

これら3つの他にも、生前に遺留分の放棄をしてもらうという方法もあります。ただし、この方法は他の相続人が快く家庭裁判所に放棄の手続きをしてくれることが前提条件となるので、実行までのハードルは高いです。

 

また、生前に遺留分相当の生前贈与をしなければなりません。遺留分相当の金額を用意しておくことにハードルがあり実行は困難です。また遺留分を相続後に支払うのかもしくは相続前に支払うのかの違いだけで、根本的な問題解決にはなりません。中小企業オーナーの場合は、他の相続人へ遺留分の贈与をしなくても、民法特例によって会社の株は遺産から除外するといった合意書を作成することもできます。

 

ただしこの方法も、他の相続人の同意を得て中小企業庁と家庭裁判所に申請するという方法ですので、関係が良好でないと難しいですし、実行するには高いハードルがあります。遺留分の放棄は生前に確実に争わないように段取りしておきたい場合に有効なのです。

 

 

大田 貴広

税理士

 

\「税務調査」関連セミナー/
相続税申告後、約1割の人が「税務調査」を経験?!
“申告漏れ”を指摘されないためのポイント>>11/19開催

 

富裕層だけが知っている資産防衛術のトレンドをお届け!
>>カメハメハ倶楽部<<

 

カメハメハ倶楽部セミナー・イベント

 

【12/10開催】
相続税の「税務調査」の実態と対処方法
―税務調査を録音することはできるか?

 

【12/10開催】
不動産「売買」と何が決定的に違うのか?
相続・事業承継対策の新常識「不動産M&A」とは

 

【12/11開催】
家賃収入はどうなる?節目を迎える不動産投資
“金利上昇局面”におけるアパートローンに
ついて元メガバンカー×不動産鑑定士が徹底検討

 

【12/12開催】
<富裕層のファミリーガバナンス>
相続対策としての財産管理と遺言書作成

 

【12/17開催】
中国経済×米中対立×台湾有事は何処へ
―「投資先としての中国」を改めて考える

 

 

相続のお金の残し方「裏」教科書 専門税理士が限界ギリギリまで教える“99%節税できて100%モメない”方法

相続のお金の残し方「裏」教科書 専門税理士が限界ギリギリまで教える“99%節税できて100%モメない”方法

大田 貴広

KADOKAWA

2024年改正による「駆け込み贈与の無効化」を完全攻略 相続でこんなことを思っている人にオススメします。 ●相続節税の基本を知りたい。王道の方法を。2024年度の最新税制を踏まえて ●と同時に、裏ワザ的なことも知り…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録