(画像はイメージです/PIXTA)

本記事は、松本美登里氏の著書『生きるって楽しい! 新感覚のアイデンティティ』(幻冬舎メディアコンサルティング)より抜粋したものです。

問題の原因を「自分の外側」に求めていては、何も変わらない

何か自分に問題が起こった際に、それを人のせいにしていたり、環境のせいにしていたり、自分の外側に原因を求めたりしていては、何も変わることはありません。一度問題は収まったとしても、また同じような悩みが浮上してくるはずです。あらゆる物事を、自分と分離させて考えていては根本の解決法は導き出せません。自分と〇〇というように物事と自分との関係性から探っていく必要があるのです。

 

例えば、仕事に対してすごくネガティブな気持ちを持っていた女性がいました。彼女は仕事が嫌なのは自分の職場の環境のせいだと思っていました。彼女が仕事をするのはあくまで生活のためであり、仕事で私生活を犠牲にするのは絶対に嫌だ、仕事は心身ともに疲弊させるものだから、仕事に取り込まれないようにしようと常に意識していたといいます。

 

そんな彼女がシステムと出会い、自分が仕事を嫌っている原因を自分の中に求めるようになりました。すると、彼女は自分の仕事への考え方は、幼い頃に見ていた母の働く姿に根本があると考えるようになりました。管理職である彼女の母親は毎日残業続きで、家に持ち帰ってまで仕事をすることもあり、相当過酷な労働環境でボロボロになるまで働き続けていたように見えていたのです。

 

しかしシステムによって、働く母親のマイナス面だけでなく、プラスの面が見えてくることになります。それは女性管理職として男性と肩を並べて颯爽(さっそう)と歩く姿や、会議で堂々と自分の意見を述べ、活躍しているカッコいい姿でした。さらに、自分が嫌っていたのは仕事そのものではなく、仕事優先で自分を見てくれない母という見方から、母を奪った元凶である「仕事」というものを憎んでいたのだということに気付いたのです。そんなことから、彼女は自分の職業観をきれいにリセットすることができました。

 

すると、これまでは「生活のため、お金のため」と割り切って、憂鬱な思いを抱えながら通っていた職場が、とても楽しく思えてきました。いきいきと働けるようになった彼女は周りからも高く評価されるようになり、初めて昇進も果たして給料もかなりアップしたそうです。

母親が語っていた「未来への不安」に影響を受けていた男性

また、別の男性の話ですが、「成功した未来」「安定した未来」をひたすら追い求めていた方がいらっしゃいました。先行き不安な今の世の中ですから、もしかしたらこういった方は多いかもしれません。

 

その男性は当初、成功し、安定した未来のために、本業である保険の営業を必死に頑張るだけでなく、サイドビジネスをしたり、人から誘われた儲け話に乗ったりするようなことをして、とにかく日々一生懸命頑張っていたそうです。しかし、結局思うようにはお金も貯まらず、いつしかこれでいいのかと思うようになってきました。

 

そんな矢先、その男性もシステムを知ることになります。すると、彼はすごいエネルギーで未来を追いかけているので、どこまで未来に行っても、見るものは「今の不足」なんだということに気がつきます。彼はシステムによってそれが分かったときには本当に愕然としたそうです。なぜなら、これまで彼が必死で追いかけていたのは富や成功ではなく、不足感だったのですから。

 

そして、安心できる未来が欲しいと思っているベースが、自分の中にある不安というエネルギーであるということを知った彼は、次にその不安がいったいどこから来ているのか、ということもシステムに当てはめて考えてみました。

 

すると、ある日彼は自分の母親がずっと未来への不安を語っていたことに気がつきました。もちろんそれは子どもへの愛情から出ている言葉なのでしょうが、「ちゃんと貯金しなさいよ」「いい高校にいって、いい大学にいかないと、一流のいい会社に就職できないわよ」などと常に不安を口にしています。思い返せば、彼が子どもの頃から母親は心配と不安の塊で、常にこのようなことを語っていたそうです。

 

彼は、未来を幸せにしようとして今を犠牲にしていく人生を選んでいたことも分かり、このままでは絶対幸せになれない原因をシステムによって見事つきとめることができたのです。

 

この男性は自分のベースに、母親から受け継いだ心配と不安のエネルギーがあることに気がつきます。実はスクールの受講生の中にも、最初は「自分は別に親の影響なんか受けていない」という方もいますが、それは自分がそう思い込んでいただけというケースが案外多いのです。自分を深く解体していくことで、自分がうまくいっていないのは、親の影響が原因だったという場合が大いにあります。

無意識に受け継いだ「思考の影響」を断ち切る

基本的に、人は実際の肉体の性が男性であっても女性であっても人間の中には男性性と女性性というものがペアで存在しています。その二極のエネルギーがあるのです。また人は誰でも父親と母親から生まれており、父親からの遺伝子と、母親からの遺伝子を受け継いでいます。

 

肉体的な遺伝子では、例えば鼻が高いとか、背が低いとか、いろいろなものがありますが、それと同時に心象的なことなども引き継いでいるものです。また、親の考え方などにも影響を受けています。親がいない人でも育ててくれた人の影響を受けます。

 

前出の男性のケースもそうですが、幼少期の、体も心も育っていくような段階では、知らず知らずのうちに母親が話す不安だとか、心配だとか、そういったものが植え付けられてしまうということがあります。

 

例えばお金に対する考え方一つとってもそうだと思います。子どもの頃から「お金は人を不幸にする」とか「お金持ちは悪い人たち」などと言う親の言葉を聞いて育った子どもは大人になっても親と同じような発想をして、どこかお金を悪いものとして見てしまうような傾向があるものです。

 

子どもの頃に親から虐待されていたという人が、大人になって子どもを産んだときに、今度は自分が子どもにDVをしてしまうという話も残念ながら、よくある話です。

 

しかし間違ってほしくないのは、「だから親が悪い」ということではないのです。

 

その親も同じように親の影響を受けて育ってきました。

 

無意識に受け継いだ思考の影響が、消去されないまま代々引き継がれているということなのです。

 

システムによって現象を生み出す大元を消去しなければ、たとえ反面教師として生きていてもどこかで同じ現象になってしまうものです。

 

システムで自分を知り、内面が整うと、自分の子ども、子孫にネガティブなものを引き継ぐ要素がなくなるとともに、間違った思い込みで作られた過去の記憶も変わり、過去に問題があった家族や親族との関係性なども様相が一変してしまいます。

 

 

松本 美登里
株式会社ミロス・インスティチュート代表取締役

 

※本連載は、松本美登里氏の著書『生きるって楽しい! 新感覚のアイデンティティ』(幻冬舎メディアコンサルティング)より抜粋したものです。

新感覚のアイデンティティ

新感覚のアイデンティティ

松本 美登里

幻冬舎メディアコンサルティング

職場での人間関係、家族の不仲、金銭問題、体調不良……、人生なんて楽しくない――そんなふうに思っている人は多くいます。つらかった過去の経験を見つめ直すことをちゅうちょする人もいると思います。 本書では著者が開発…

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