今回は、荒れ果てたマンションを再生させたリフォーム事例を見ていきます。※本連載は、不動産投資家として成功を収めている才津康隆氏の著書『CF不動産投資』(サンライズパブリッシング)の中から一部を抜粋し、「再生物件」投資で大きなリターンを得るノウハウを、具体的な物件例とともに紹介します。

意識したのは「投資全体の目線でのアレンジ」       

前回の続きです。

 

ハト物件の再生にあたり、私は投資全体の目線でのアレンジを思案しました。マンモス物件は初めてのエリアでの再生物件ということで不慣れな部分もありましたが、今回は余裕を持って全体を見通すことを意識したのです。

 

投資全体を見渡すにあたり、まず必要なのは試算です。前回同様、リフォーム資金の見積もりから詳しく見ていきたいと思います。なお、この見積もりは、ハト物件の概要書を見た段階で私が算出したものです。

 

●室内リフォーム:1500~2000万円(1室100~150万円)

●外壁塗装、屋上防水:1500万円

●立木伐採、雑草処理など:100~200万円

◆合計:3500~4000万円

 

さらに詳しい内訳は、次の通りです。

 

《室内リフォーム:1500~2000万円(1室あたり50㎡3DK)》

 

ハト物件はバランス釜で、風呂、トイレ、キッチンすべて交換が必要でした。㎡あたり約2~3万円かかると予想し、1室あたり100~150万円と計算しています。

 

《外壁塗装、屋上防水:1500万円(延べ床面積約1500㎡4階建)》

 

外壁塗装は㎡あたり約0.7~0.8万円と予想し、1000~1200万円程度と考えました。屋上防水は1500㎡÷4階で、屋上面積を375㎡としています。こちらは㎡あたり約0.7万円と予想し、375㎡×0.7万円≒200~300万円という結果になりました。

 

《立木伐採、雑草処理など:100~200万円》

 

こちらは、これまでの経験則から当てはめた数字です。

 

「フロアごとに分けたターゲット」で客付けに成功

基本的なリフォームプランは、マンモス物件とまったく同じです。ただ、この物件にはエレベーターがありませんでした。エレベーターがない物件は、どうしても客付けに影響が出ます。そこで私は、「フロアごとにターゲットを分ける」という工夫を考えてみました。

 

まず、1階と4階は法人向けにします。メインターゲットは、ハト物件の近隣にある工場です。単身の労働者向けに家賃を抑え(3.7万円)、かつリフォームを簡易版にするのです。

 

そして、2~3階はファミリー向けです。ある程度しっかりとリフォームを行い、家賃を高めに設定します(4.2~4.5万円)。これなら各ターゲットの需要を満たし、再生コストも節約できるというわけです。1室あたりのリフォーム費用は、法人フロア70~80万円、ファミリーフロア120~150万円になります。

 

購入して間もなく、簡易リフォームで家賃が安い法人フロアに申し込みが入りました。ファミリーフロアはリフォームが完了してから募集をかけましたが、購入後2ヶ月弱の2016年4月時点で、18戸の空室を埋めることができたのです。

本連載は、2016年11月10日刊行の書籍『CF不動産投資』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

CF不動産投資

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才津 康隆

サンライズパブリッシング

不動産投資の第1の目標は「キャッシュフロー1000万円」。そのステージに達するためにはどうすればいいのか。そのステージに立てた後はどう行動すればいいのか。 日本最西端の離島で単身不動産投資にチャレンジし、2年半で家賃…

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