定年後に「困窮する人」の決定的特徴
「現役時代、豊かに暮らしていた分、本音を言えば、今より狭い家には移り住みたくないんです。節制なんてのも、特に気にしたことはなかった(妻は違うかもしれませんが)。よい食事を摂りたいし、美味しい酒だって毎日呑みたい。今後に備えて我慢が必要なのはわかりますが、消費を抑えることの難しさを感じています」
実は下野さんのような例は、めずらしくありません。専門家も「お金のコントロール」の難しさを指摘しています。
“明暗を分けるもっと大きなポイントは、お金を計画的にコントロールしているか否かにあるといえます。
意外なことに、収入が少なくても生活を切り詰めながらやりくりできていた人は、定年後もあまり困窮しません。逆に、現役時代に年収が1,000万円を超え、生活が派手だった人ほど貧乏定年になりやすいのです。
彼らは節約とは無縁の暮らしを送ってきました。定年後に収入がガクンと下がっても、おいそれとはギャップに対応できません。いままでと同じようにお金を使いまくっていたら、毎月大赤字になって当然です。”長尾義弘・中島典子『金持ち定年、貧乏定年』
下野さん、年金の受給は65歳からです。その金額にも不安を感じていると話します。
「年金もらえないってニュース多いですし、まあ自分も期待していないです。夫婦合わせて20万円ぐらいですかね」
実際、年金受給額の平均値はいくらほどなのでしょうか。厚生労働省年金局発表『令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』により、現在の受給状況をみていくと、公的年金受給者数(延人数)は、令和4年度末現在で7,709万人。厚生年金保険(第1号)受給者の平均年金月額は、老齢年金が14万4,982円です。一方、国民年金受給者の老齢年金の平均年金月額は、5万6,428円となっています。
「……本当は、もう一切労働する気はなかったんです。今まで馬車馬みたいに働いてきましたから、十分だと思ってたんです。でも、人生そうもうまくいかないですね。再就職を考えています。給料は前より少ないでしょうけど、不動産業界にツテはある。身体はまだ動きますし、どうにかして雇ってもらおうかと」
「しんどいですが、仕方ないです。生活レベルを下げたくない。それなら、働くしかないでしょう」
昨今の労働者、特に高収入の人々においても、定年後の生活に直面する経済的課題が増えています。「高収入に慣れた生活水準の維持が困難」「突発的な支出への対応力不足」「年金収入の不安定さ」などが挙げられます。
こうした課題に対処するためには、早い段階からの資金計画の策定や節約、ファイナンシャルプランナーへの相談といった対策が有効です。しかし、下野さんのように再就職を検討しなければならない厳しい状況も多く見られるのが現実です。
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