(※写真はイメージです/PIXTA)

きょうだい間における格差や親への不満は根深い問題だ。しかし、年齢を重ねて弱った親を突き放すこともむずかしい。よい対応策はあるのだろうか。

「母からの援助なんて、ほとんどないのに…」長女の悲しみ

「〈お姉ちゃんだから〉っていつもガマンさせられてばかりで、納得できない!」

「なにいってるの? こっちはいつもお古しか回ってこなかった」

「弟ばかり優遇されてばかりで、ずるい!」

 

などなど、きょうだい間における不平不満は、それぞれの家庭の数、きょうだいの数だけあるようだ。

 

親から見ても「手のかかる子ほどかわいい」「娘より息子に教育費をかけがち」等の傾向があるらしく、子どもが成人し、親が高齢となってからも、それらにまつわる不平不満を親子双方が引きずることもある。

 

ある40代の女性はうんざりした表情で語った。

 

「うちの母は、私にはいろいろなことを制限するくせに、弟にはやりたいことを思い切りやらせていました…」

 

話によると、長女である女性には、学生時代から厳しい門限を決められ、アルバイトも禁止。友人関係にまでしつこく干渉し、友人との深夜に及ぶイベントも、泊りがけの旅行もNGだったという。一方で弟には一切の制限はなかった。

 

母親は、ときに勝手な弟の振る舞いを愚痴り、女性も母親からの指示で弟に説教をしたこともあるという。

 

「ところがですよ。弟が結婚して子どもが生まれたら、風向きがまったく変わりましてね…」

 

大学卒業後、弟はすぐ大学時代の同級生と結婚し、子どもに恵まれた。するとどうしたことか、親のいらだちの矛先は「品行方正」な姉に向かった。

 

「あなたは、就職先もイマイチだし、結婚相手すら見つけられない。なにもかも弟にサクッと先を越されて、情けなくないの?」

 

人生において親からあれこれダメ出しをされ、親の意向通り従っていた素直な女性は、突然の手の平返しに愕然。しかし一方で、日々の生活では長女として責任を求められる立場。女性はとうとう独身のまま、老親の世話に追われる人生となった。

 

「父親が亡くなり、母親は〈節約しないと、服一枚気に入ったのが買えない〉と愚痴るので、私がことあるごとに援助をしていたのですが…」

 

なんと母親は、女性が渡したお小遣いをすべて、弟に渡していたというのである。

 

「私は母から援助してもらったことなんて、ほとんどないのに…」

 

下記の図表1は、「国立社会保障・人口問題研究所『第7回全国家庭動向調査』の「女性の配偶関係別にみた子の性別、居住距離別、配偶関係別の過去1年間に子や孫のために使った金額」である。

 

例の女性の母親と同じ「配偶者と死別した女性」の場合、41.3%は同居の未婚の娘にたいしてお金を使っていない。しかし一方で、近距離に暮らす配偶者と子ありの息子にたいしては、お金を使っていないケースは24.2%に留まる。

 

[図表1]女性の配偶関係別にみた子の性別、居住距離別、配偶関係別の過去1年間に子や孫のために使った金額
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