M&A業界における「FAサービス」と「仲介サービス」の違い
日本のM&A業界においては、大企業向けには投資銀行業界が中心となってFA(ファイナンシャル・アドバイザリー)サービスが提供されてきた一方で、中小企業向けには仲介サービスが提供されてきました。
「FAサービス」と「仲介サービス」。この2つのサービスには、どのような違いがあるのか、特にオーナー経営者が留意すべきポイントを意識しながら、みていきましょう。
中立の立場で売り手と買い手をつなぐ「M&A仲介サービス」
「仲介サービス」(以下、「M&A仲介サービス」)は、中立の立場で売り手と買い手のマッチングを提供するサービスで、双方から仲介手数料を受け取るのが特徴です。
M&A仲介サービスの強みは、まさにマッチングのスピードです。「成約まで最短○ヵ月!」といったM&A仲介の広告を目にしますが、特定の当事者のメリットを考えた支援が難しい分、まさにマッチング力の勝負といえます。
一方で、中立の立場ゆえに、どちらか一方に肩入れした助言を提供することが難しく、機能としては両者の妥協点を探る交渉支援などに限られます。M&Aは取引ですから、売り手にとってメリットがあることは、買い手にとってデメリットであることも多く、中立の立場からは、どちらか一方に肩入れできないというのは弱点といえるかもしれません。
顧客利益を追求する「FAサービス」
対するFA(専属M&Aエージェント)は、M&Aにおいて、特定の顧客の利益を守り、追求する支援を提供するサービスです。顧客の利益追求の対価として報酬をいただくため、取引を行う相手から手数料を取ることはありません。
売り手オーナーの立場からすると、M&Aにおける利益追求とは、主に、下記の3点に整理することができます。
(b)理想の売却額
(c)理想の取引条件の追求
FAは、M&Aのすべてのプロセスにおいて、こうした顧客の利益追求を支援します。
ほとんどの売り手オーナーにとってみれば、事業売却は人生に1度きりの大きなイベントです。勝手がわからないことも多く、当然、自らの利益に寄り添って取引を支援してくれる専門家を必要としています。中小企業においては、特に売り手側において、FAの支援ニーズが大きいといえます。
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