「M&A仲介サービス」のもう一つのデメリットとは?
②買い手の紹介が限られるケースがある
M&A仲介サービスは、買い手からも手数料を徴収するビジネスモデルです。売り手は当然、M&A仲介会社に手数料を支払うことに同意した買い手しか紹介してもらえません。
しかし、案件規模に対して、仲介手数料が高額になるケースなどでは、買い手が投資検討を辞退してしまうことがあります。このようなケースでは、いくら売り手にとって魅力的な買い手候補であっても、紹介を受けることができません。
また、上場会社を中心に、大企業では、利益相反のあるM&A仲介サービスの利用をNGとしているケースがあります。
株主をはじめ、多岐にわたるステークホルダーを抱える大企業では、利益相反のあるM&A仲介サービスを利用し、実行したM&Aが失敗に終わった場合、経営責任を問われるリスクを無視できないためです。売り手が大企業への傘下入りを希望するケースなどでは、こうした背景から大企業へのアプローチができないリスクも理解をしておく必要があります。
なお、上述のような背景で、特定の買い手を紹介できない場合においても、一般的にM&A仲介会社からは「打診したが、関心を示さなかった」という回答しか得られません。
関心を示す可能性が高いと考えていた買い手候補だったにもかかわらず、ろくな回答が得られなかったケースなどでは、具体的に、その買い手候補企業のどの部署の誰に打診をして、どのような回答を得たのか、M&A仲介会社に詳細を確認するべきでしょう。
上述したデメリットのほかにも、仲介サービスにおける利益相反構造を原因としたトラブルや、業界の激しい営業競争に起因したトラブルが問題となるケースも、散見されています。
「自分の利益を代弁してくれる専門家にサポートしてもらいたい」というニーズがある場合、オーナー経営者にとって、M&A仲介サービスは選択肢になり得ません。利益相反のない、ファイナンシャル・アドバイザー(FA)を起用することが有効な選択肢となることは覚えておいていただければと思います。
作田 隆吉
オーナーズ株式会社
代表取締役社長
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