投機筋に大ダメージ!?…先週発生した〈メキシコペソ大暴落〉が「米ドル=円」に与える影響【為替のプロが考察】

6月11日~6月17日の「FX投資戦略」ポイント

投機筋に大ダメージ!?…先週発生した〈メキシコペソ大暴落〉が「米ドル=円」に与える影響【為替のプロが考察】
(※画像はイメージです/PIXTA)

先週は、前半は1ドル=154円台へ米ドルが反落したものの、後半には157円へと反発した「米ドル=円」。マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏によると、「日米金利差の変化より、投機的円売りが続くか否かの影響が大きくなっている」最近の為替相場において、投機筋の円売りの動向を左右し得る、気になる事象が発生しているといいます。今週の相場の展開予測と合わせて、詳しく見ていきましょう。

FOMCや日銀会合を受けた、投機的円売りの今週の動きは?

これまで見てきたように、最近の米ドル/円は、日米金利差の変化より、投機筋の動向の影響が大きくなっているようです。この背景には、日米10年債利回り差の「米ドル優位・円劣位」が、3%以上と、大幅に拡大している状況では、それが少し縮小したとて、円買いには不利で、円売りに有利なことに変わりないといえます。その結果、日米金利差の米ドル優位・円劣位が縮小しても、円買いの反応は限られ、金利差の「円劣位」が拡大すると、過敏に円売りで反応する状況となっています。

 

先週は、金曜日の米雇用統計発表が予想より強かったことから、日米金利差の米ドル優位・円劣位の拡大で、米ドル/円は、一時157円まで反発しました。とはいえ、さらに米ドル高・円安が広がるかといえば、そこは、投機的円売りが続くかどうかが、最大の焦点となるでしょう。

 

今週は、水曜日にFOMC(米連邦公開市場委員会)、そして金曜日には、日銀の金融政策決定会合が予定されています。また、下記のように、12日にCPI(消費者物価指数)、13日にはPPI(生産者物価指数)といった、米インフレ指標の発表なども予定されており、注目イベントが相次ぐ見通しとなっています。それらを受けて投機円売りが続くか否かが、米ドル/円の行方を決めることになりそうです。

 

<12日>
4月CPI総合=前回3.4%、予想3.4%
  同コア=前回3.6%、予想3.5%
<13日>
4月PPI総合=前回2.2%
  同コア=前回2.4%

 

CFTC統計の投機筋の円売り越しは、4日時点で13万枚でしたが、その後は米ドルが反発したこともあり、さらに拡大している可能性もあります。そもそも、円売り越しが10万枚以上になると、「行き過ぎ」の懸念が強まるのが通常です。その意味では、すでに高水準となっている、投機筋の米ドル買い・円売りポジションの拡大には、おのずと限度があるといえます。

 

加えて、すでに見たように、「ペソ・ショック」で、ヘッジファンドなどの投機筋が大きな損失を負ったとしたら、全体的にリスク許容度も低下している可能性があるため、なおさら行き過ぎた米ドル買い・円売りの拡大余地は、限られる可能性があります。

 

米ドル/円は、160円まで上昇した後、日本の通貨当局による為替介入を受け、急落に転じたあとは、これまでのところ、158円以上の反発はありません。このため、158円は米ドルの上値の重要分岐点と考えられます。

 

投機筋が、米ドル買い・円売りポジションに大きく傾斜した状況で、さらに「ペソ・ショック」などにより、リスク許容度が低下しているとすると、投機筋による円売りの拡大で、158円を大きく超えるのは難しく、逆にポジション調整が拡大した場合は、米ドル安・円高に戻す可能性もあるでしょう。

 

以上を踏まえ、今週の米ドル/円は、154.5~158.5円で予想します。


 


吉田 恒

マネックス証券

チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

 

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