協議の内容を報告され「さらに驚いた」…「彼女の主張」の内容
協議の内容を報告され、吉野さんはさらに驚きました。
弁護士が伝えたところによれば、彼女の主張は「送り迎え中の自動車内で肩に触れられた」「自宅に行きたがる素振りをしつこく見せられた」「子どもや元旦那のことを根掘り葉掘り聞かれた」というものだったのです。
思い返すと、確かに彼女との会話には元旦那の悪口が登場することが度々ありました。吉野さんは彼女の話を聞いていただけのつもりでしたが、「会社でできることはする」「俺が元旦那を許さない」と発言したことがあり、「XXXちゃん」と下の名前で呼びながら髪に触れたことも思い出しました。吉野さんとしては思いやり・好意のつもりで行った発言と行動でしたが、セクハラになってしまっていたわけです。
結局相手の弁護士は裁判を起こし、和解を申し入れても拒否されてしまいました。
訴訟は進展していきました。半年後、あるスクリーンショットが裁判に提出されました。それは原告の女性と、会社の重役として吉野さんが重宝していた女性とのLINEのやり取りでした。「社長、いつもそうだから」「触られてない? 大丈夫?」という内容でした。
最終的に相手の弁護士が折れ、100万円で和解を提案されました。社長は和解に応じましたが「心は晴れていない」「いわれのないセクハラだ」と今でも感じています。LINEを送っていた会社の重役に対して「文句を言ってやりたい」とも語っています。
事件は一応解決しましたが、「後任の秘書のことは、相変わらず自宅まで送り届けている」と語る吉野さん。「家族に訴訟のことがバレなかったのはよかったですが、弁護士費用も高額だったし気持ちが沈んでいます」とまったく反省していない様子…。
今回の出来事から学ぶべきことは、セクハラやパワハラの認識の違いが大きな問題を引き起こすということです。吉野さんは「好意や思いやりのつもりだった」と語りますが、相手が不快に感じた時点で、それはセクハラになり得るのです。
さらに本件では、「愛人の代わりに秘書に癒しを求めていた」とも語っており、不適切な目線で見ていたことは否めないでしょう。
こうした認識を改めるためには、職場全体でハラスメントに対する教育や啓発を強化し、お互いに尊重し合う職場環境を作ることが不可欠です。
社長自身も、自分の言動を見直し、常に相手の立場に立って考える姿勢が求められます。問題が発生した際には、迅速かつ誠実に対応することが重要です。ハラスメントがなく、社員一人ひとりが安心して働ける環境を整えるためには、こうした取り組みが不可欠です。