(※写真はイメージです/PIXTA)

安定的に資産運用を続けるには、“攻め”と“守り”のバランスの取れたポートフォリオを構築することが欠かせません。この両面を持ち合わせた投資手法として近年注目されているのが「ダイレクト・レンディング投資」です。米国の大手資産運用会社であるアライアンス・バーンスタイン(以下「AB」)が、そんなダイレクト・レンディングの特徴と魅力について解説します。

ダイレクト・レンディングの「市場下落時」の強み

なぜ、ダイレクト・レンディングは市場の下落時に優れた実績を示すことができたのか。主に4つの仕組みが機能しているからだと考えられます。

 

1つは満期までの保有が基本であること。市場を介さないプライベート資産として流動性に制限を設けているがゆえに、公開市場のようにテクニカルな売り圧力とは無縁です。

 

2つ目は、貸し手に優先的求償権が付与されていること。借り手の価値が下落した場合でも下落を吸収するだけの大きな資本がバッファーとして付いています。

 

3つ目は、貸し手に有利なローン条件にできること。借り手に対する交渉によって、ダウンサイド・リスクを軽減する条件に修正することができます。

 

そして4つ目が借り手との関係の強さ。関係者間による定期的で緊密なコミュニケーションによって、借り手の業績や見通しを的確に把握することができ、債務不履行が予想される場合でも前もって対応ができます。

投資戦略に組み入れることで、高いリターンが期待できる

こうした守りに強い特性は、経済が不況に陥った場合に価値を発揮し得るものです。2024年、ダイレクト・レンディングを投資戦略として組み入れることで、投資家はどのような効果を得られるのか。弊社の見解を紹介します。

 

米国では労働市場が引き続き力強く推移し、インフレ率がFRBの目標を上回っていることから、金融緩和のペースは緩やかなものになる可能性が高いと弊社は考えています。

 

ダイレクト・レンディングに用いられる基準金利である担保付翌日物調達金利(SOFR)は、現在の5%超から2024年末までに約4.5%まで低下する見通しです。

 

ただ、世界金融危機以降に10年以上続いた1%以下の水準に比べると、はるかに高い水準です。高い基準金利は高いローン金利につながり、ダイレクト・レンディングの貸し手にとってリターンが押し上げられる可能性が高いことを示唆しています(図表2)。

 

出所:ロンドン証券取引所、AB
[図表2]ミドルマーケットにおけるダイレクト・レンディングの平均利回り(%) 出所:ロンドン証券取引所、AB

 

個別のダイレクト・レンディングでは、利払い負担の増大に苦しみ借り手が返済に窮するケースが増加する可能性は考えられますが、金利上昇はそれを相殺する以上のプラス効果を生じさせると予想しています。

 

加えて、金利水準が落ち着きを取り戻していることから、潤沢な資金を持つプライベートエクイティファンド等のスポンサーによるM&A(合併・買収)が活発化し、ダイレクト・レンディングの投資機会が潤沢に提供されると考えています。

 

中小企業向け融資を縮小しようとしている銀行の動きは変わらず、投資家にとって、ダイレクト・レンディング戦略の投資機会は拡大すると予想されます。

 

さまざまな案件の発掘が考えられるなか、規律を守り、選別的なスタンスを有する投資マネジャーが、高いリスク調整後リターンを得ることになりそうです。

 

 

清森 英晃

アライアンス・バーンスタイン株式会社

プライベート・オルタナティブ部 ディレクター

 

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【ご注意】
※本稿は、ABのリサーチブログ「知の広場」の「攻守に活きるダイレクト・レンディング」、「ダイレクト・レンディングの見通し~豊富な投資機会と高いリターンの可能性~」を参考に、再編集したものです。詳細については当該ブログをご覧ください。
本文中の見解はリサーチ、投資助言、売買推奨ではなく、必ずしもアライアンス・バーンスタイン・ポートフォリオ運用チームの見解とは限りません。本文中で言及した資産クラスに関する過去の実績や分析は将来の成果等を示唆・保証するものではありません。
当資料は、2024年3月7日現在の情報等を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が再編集した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。当資料に掲載されている予測、見通し、見解のいずれも実現される保証はありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。当資料で使用している指数等に係る著作権等の知的財産権、その他一切の権利は、当該指数等の開発元または公表元に帰属します。当資料中の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。アライアンス・バーンスタイン及びABはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。

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