(※写真はイメージです/PIXTA)

8月2日に日経平均株価が「史上2番目の下落幅」を記録し、米ドル円は7月10日からわずか1ヵ月で10円超円高に振れるなど、株安・円高の様相を呈する金融市場。そのようななか、一部の投資家たちは「プライベート・クレジット市場」に熱視線を向けています。なかでも、「商業用不動産ローン」は今年非常に魅力的な投資対象となる可能性があるそう。米国の大手資産運用会社アライアンス・バーンスタイン(以下「AB」)が詳しく解説します。

投資対象として注目の「商業用不動産」

2024年は、商業用不動産への投資を検討する投資家にとって魅力的な1年になりそうです。注目すべきはプライベート・クレジットによるローンへの投資。銀行は規制強化で自己資本比率を引き上げざるを得ない状況で不動産融資に慎重になっています。

※プライベート・クレジット……非公開で組成、交渉される投資商品のなかでも、貸付債権といった信用リスクに根差した商品のこと。

 

一方、満期を迎えるローンは、欧州では向こう2年で6,000億ユーロ、米国でも2024年だけで1兆米ドル相当にのぼります。このため、銀行以外の貸し手によるファイナンスの需要が高まっています。

 

ただ、これだけ金利が上昇し、社債や国債の利回りが高止まりしている状況で、「利回り差が縮小している商業用不動産ローンに投資をする必要があるのか」と疑問を抱く投資家もいるでしょう。

 

高金利の長期化と景気後退の可能性があるなかで、リスクに見合ったリターンが提供されるのかも気になります。仮に主要中央銀行が利下げに踏み切った際、エクイティを選んだほうが高いリターンが期待できると考えるかもしれません。

 

しかしABでは、ポートフォリオの分散を考えれば、エクイティとデットの両方に分散投資させるべきですが、足元ではローン投資といったデットのほうが、下落リスクを軽減しながら魅力的な投資機会を見つけることができると考えています。

 

主な理由として挙げられるのは、商業用不動産のサイクルがまだ底を打ってはいないことです。こういった局面ではローンの貸し手になる利点が高まります。足元のような状況で借り手になれるのは、クオリティの高い物件に投資をする信用力を有している証左です。プライベートな貸し手にとっては、より低いリスクで高いリターンを生むローン組成が可能です。

 

不動産価値が下方修正された状態でローンが組成されるため、LTV(評価額に占める借入金割合)の上昇リスクも限定的です。コベナンツも貸し手優位で交渉できます。保守的なローン契約によって、投資家は不動産が生む安定したインカム収益を得やすくなります。

 

商業用不動産ローンにおいてエクイティ(資本)は、価格下落を抑制するクッションとして機能します。評価が改善した際、その恩恵を直接受けるのは株式などの資本を持つ投資家です。ただ、それは同時に損失を受けるリスクが大きいことを意味していて、投資案件が失敗に終わった際、第一に損失を被るのはこうした投資家です。

 

混迷の米大統領選挙 今後の米国投資の要諦とは
アライアンス・バーンスタインのストラテジストが
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【ご注意】
※本稿は、ABのリサーチブログ「知の広場」の「商業用不動産デット:サイクル底打ち手前は魅力的な投資機会が広がる」を参考に、再編集したものです。詳細については当該ブログをご覧ください。
本文中の見解はリサーチ、投資助言、売買推奨ではなく、必ずしもアライアンス・バーンスタイン・ポートフォリオ運用チームの見解とは限りません。本文中で言及した資産クラスに関する過去の実績や分析は将来の成果等を示唆・保証するものではありません。
当資料は、2024年3月6日現在の情報等を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が再編集した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。当資料に掲載されている予測、見通し、見解のいずれも実現される保証はありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。当資料で使用している指数等に係る著作権等の知的財産権、その他一切の権利は、当該指数等の開発元または公表元に帰属します。当資料中の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。アライアンス・バーンスタイン及びABはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。

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