売却を検討するタイミングの具体例
売却はどのような時に検討すべきなのか、3つの具体例を見ていきましょう。
事例① 投資先のビジネス環境が激変
政府の規制で暴落した中国株数年前まで、私は中国株に投資していました。中国の本土や香港の証券取引所を通じて、今でも日本から中国の市場への投資が可能です。
特に中国は米国に次ぐハイテク立国であり、BATH(バイドゥ、アリババ、ファーウェイ、テンセント)などのハイテク4社は米国の巨大プラットフォーム企業GAFAに匹敵する成長を遂げていました。
私が投資していたのはテンセントで、中国で広く利用されている通話アプリの「WeChat」を運営し、その他にもITオンラインエンターテイメント事業など、消費者に根付いた巨大プラットフォーマーです。
しかし、2021年の8月、中国当局が突如としてオンラインゲームなどの規制に乗り出し、ビジネス環境が大きく変わりました。特に驚くべきは、教育サービスへの規制で、学歴競争が激しく、教育費が家計に負担をかけていた中国において、教育産業の営利活動自体を禁止する措置が取られたことです。
こうした政府の規制により、ビジネス環境が激変し、テンセントの株価は大きく急落しました。私はこのニュースを受けて、ビジネス環境が大きく変わったことを理由に全株を売却しました。
その取引では損失を出しましたが、仮に含み益であっても、私は売却の判断を下していたと思います。
事例② 事業の安定性・成長性が損なわれた
新型コロナでの事業環境の激変2020年、新型コロナウイルス感染拡大の影響で外出制限や移動制約が広がり、対面や移動を前提としたビジネスは環境が激変しました。
これまでならあり得なかった移動需要の消滅に伴って、JRや航空会社などの売上は9割以上も減少し、ビジネス活動が維持できない状況が生じました。
同様に、エネルギー業界でも需要が急減し、原油価格が史上初めてマイナスを記録するなど、異常な事態が発生しました。
現在、多くの産業はV字回復していますので、ある意味最悪の状況に直面した株の買い時と言えるでしょう。
しかし一方で、これ以前に高値で株を保有していた場合、大きな含み損を抱え、いつ元に戻るか不透明な状態になります。
さらに、鉄道や航空会社などは本来需要が安定したインフラ企業であるという前提があるのに、ウイルスの影響でその事業環境がまったく変わってしてしまったため、事業の安定性・成長性を投資理由にしている場合は、売却となります。
事例③ 減配(無配)が発生した
無配当に転落した時高配当を前提として投資しているのに業績の悪化、それにともなう減配(無配)が発生した場合も、株を手放す理由となり得ます。
この記事を読んでくださる方々には、配当金だけでなく、会社の成長性や安全性などを考慮して株を選んでいただきたいと思っています。が、やはり配当金の高さは大事で十分投資理由になります。
これらの前提が変わった場合、いったん売却を検討することも妥当です。