●米主要企業500社の85%が、2024年1-3月期決算発表を終え、まずまず良好な決算内容に。
●テック大手を含む通信サービス、情報技術、一般消費財の今年の純利益は2ケタ増の市場予想。
●好調な業績見通しは株価を支える材料に、インフレ鎮静化で米国株は水準を切り上げる展開か。
米主要企業500社の85%が、2024年1-3月期決算発表を終え、まずまず良好な決算内容に
米国では上場企業による2024年1-3月期の決算発表が続いています。英ロンドン証券取引所グループ(LSEG)のデータによると、S&P500種株価指数を構成する主要500社のうち、5月7日時点で420社を超える企業が決算発表を終えており、進捗率は企業数ベースで85%に達しています。そこで今回のレポートでは、米企業の2024年1-3月期決算の状況と、2024年の業績予想について確認します。
はじめに、2024年1-3月期決算の状況からみていきます。5月7日時点で、売上高の実績が市場予想を超えた割合は61%、一致した割合は0%、下回った割合は39%となっています。一方、純利益の実績が市場予想を超えた割合は78%、一致した割合は6%、下回った割合は16%となっています。これらを踏まえると、2024年1-3月期はまずまず良好な決算と考えられます。
テック大手を含む通信サービス、情報技術、一般消費財の今年の純利益は2ケタ増の市場予想
2024年1-3月期の純利益について(決算未発表企業は市場予想)、11の業種別に前年同期比で伸び率の大きい順にみると、通信サービス(前年同期比44.1%)、一般消費財(同26.2%)、公益事業(同26.0%)、情報技術(同23.7%)、金融(同12.7%)、不動産(同10.5%)となり、上位6業種は2ケタの伸びでした。以下、資本財(同8.0%)、生活必需品(同4.6%)、素材(同-20.3%)、エネルギー(同-24.0%)、ヘルスケア(同-24.0%)となっています。
次に、2024年通年の純利益について、市場予想をまとめたものが図表1です。前年比で伸び率の大きい上位3業種は、通信サービス(前年比22.2%)、情報技術(同16.7%)、一般消費財(同13.4%)です。なお、米テック大手7社「マグニフィセント・セブン」は、グーグル親会社のアルファベットとメタ・プラットフォームズが通信サービスに、アップル、マイクロソフト、エヌビディアは情報技術に、アマゾンとテスラは一般消費財に含まれます。
好調な業績見通しは株価を支える材料に、インフレ鎮静化で米国株は水準を切り上げる展開か
このように、ハイテク銘柄を含む主要業種の純利益は今年好調な伸びが見込まれており、また、S&P500種株価指数全体の純利益も、市場では前年比10.5%の伸びが予想されています。米国株は4月以降、総じて調整気味の推移が続いていますが、良好な業績見通しが、この先の株価を支える材料の1つになる公算は大きく、足元の値動きを過度に悲観する必要はないと考えます。
今は米国のインフレの粘着性が株価の上値をおさえる一因となっていますが、インフレが鎮静化していけば、市場の関心は企業業績に移り、株価は徐々に水準を切り上げる展開も想定されます。なお、前述の米テック大手7社の時価総額は、4月末時点でS&P500種株価指数の時価総額の30%を超え(図表2)、これら7社の株価動向がS&P500種株価指数に大きな影響を与えることもあるため、この点には注意が必要です。
(2024年5月10日)
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『好調な業績見通しは“株価を支える材料”に。米企業の「2024年業績」を予想【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】』を参照)。
市川 雅浩
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
チーフマーケットストラテジスト
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